京都市右京区京北町や左京区花背の洛北地方や南丹市美山町など「森の京都」エリアを中心とする里山の各村々では、迫力満点の勇壮な火祭りがお盆の前後に執り行われます。一般に見学することもできるので、日程をチェックしてぜひ訪ねてみましょう!
火の神様・愛宕山を起源とする「松上げ」の歴史
起源は愛宕山への山岳信仰における山伏修行にあると考えられているそう。山伏が古木を駆け上り、火打ち石で木に発火させて煩悩を払う、まるで“天狗”のような修行が民間に伝わり、お盆の精霊迎えや精霊送りの火の祭礼と結びついたとの説も。
京都府無形民俗文化財にも登録!「松上げ」ってなにする?
京都と若狭を結ぶ若狭街道周辺の里山でお盆の時期に行われる火祭りを「松上げ」といいます。地域によって呼び名が若干変わるところも興味深いです!
20メートルほどの燈籠木(とろぎ)の先についた「もじ」と呼ばれるカゴに向かって、火のついた小松明を何人もの男たちが四方八方から投げつけて点火させます。大きな炎をあげながら暗闇の空を舞う松明は圧巻で、これぞ奇祭!!!
日本の原風景「かやぶきの里」南丹市・美山町の「松上げ」
宝永2年(1705年)に、愛宕神社神明火祭りという火災予防を願った祭りとして始まり、当初は鶴ヶ岡地区の各集落で行われていたそう。
いまでは美山町町内、鶴ヶ岡地区の盛郷(もりさと)、川合、殿、知井地区の芦生の4地区で行われ、農作物の豊穣への感謝と火の神・愛宕神社へ火魔封じを願って献燈されます。
ちなみに鶴ヶ岡地区の盛郷(もりさと)、川合、殿では松上げとは呼ばずに「上げ松(あげまつ)」と呼ばれて、知井地区芦生では「松上げ(まつあげ)」と呼ばれています。
川べり一帯に並べられた松明や、投げ上げられた炎が川面に映る様子は、とっても神秘的。夏の思い出として心に刻まれることでしょう。
海の京都エリアにも!? 8/14「舞鶴・城屋の揚松明」
実は今回、「海のエリア」にも火のお祭りがあることを知りました。それが舞鶴市「城屋の揚松明(あげたいまつ)」。
JR西舞鶴駅より車で10分、農耕水利を司る水の神さまを祀る「雨引神社」の境内で開催されます。古来より雨乞いのため火を焚く習慣が伝わり、戦国時代から「揚松明」が神事として行われるようになったんだとか。
毎年決まって8月14日に祭礼が行われ、当日夜の9時頃から宮司による祈祷が始まります。青年会(氏子中)による太鼓の練り込みや清流での禊ぎを行うなど、点火前から見所がたっぷり。
その後、小松明への神火の点火、大松明へと投げ上げる神事が開始されます。空高く掲げられたすり鉢状の大松明に小松明を投げる勇ましい男性(氏子中)の姿にホレボレ!!由来によると、大松明の先端に祀った御幣竹(神事用具)が爆竹音と共に落下。この落ちる方向によってその年の豊凶を占うんだとか。そしてクライマックスには、火の粉を一杯に溜めたすり鉢が一気に崩れ、夜空に高く舞い上がります。その姿がなんとも幻想的です。
infomation
城屋の揚松明2018年8月14日(火)
祭りは20時頃〜/点火は22時〜
場所:雨引神社
※駐車場がないため公共交通機関をご利用ください