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暮らすように旅をする…京丹後の「人」が資源の新しい観光スタイル

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世界的な人気を誇る観光都市「京都」—。
圧倒的な知名度と支持を国内外から得ているのは「京都市」ですが、最近では、京都市以外の「京都府内の観光地」がジワジワと注目を集め、また観光客も分散傾向にあるそう。
そんな中、少し変わった観光スタイルを打ち出し、話題になっている町があります。
その場所は、京丹後市・間人(たいざ)
ここで今行われているのは、町の住人達が協力し合い、人のチカラで訪れる人々に癒やしや感動を提供するという新しい観光のカタチ。むむむ、これは一体、どのような観光なのでしょう…?
今回もKYOTOSIDE編集部は現地へと飛び、その魅力に迫りました。

青い海とジオパークで有名な「京丹後」

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京都市から車で縦貫道をブーンと走って約2時間(電車だと約2時間半)、京都府北部の丹後半島にある海辺の町・京丹後市にやってきました。
まず目に入ってきたのは、沖縄にも引けを取らない青い海と地平線、そして白砂ロングビーチ!!そう、京丹後には非常に澄んだ色を持つ美しい海が広がっており、海水浴場も多数!夏の京丹後の海辺は海水浴客で賑わいます。わたしも、京都にこんなにキレイな海があるんだ…ということを、改めて知りました。

 

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特筆すべきは、山陰海岸ジオパークと呼ばれる、およそ2千万年前に、日本海が形成される際に自然が作り出した圧倒的な造形美…大小さまざまな巨岩、岸壁がいくつも目の前に表れます。写真は、間人にある立岩(たていわ)。ジオパークのシンボル的な岩で、柱状節理の安山岩です。
京丹後はこのように海や山、川などの豊かな自然に囲まれた風光明媚で穏やかな町なのです。

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今回、わたしたちを出迎えてくれたのは、京丹後市間人にある料理旅館「うまし宿とト屋」の女将である池田香代子さん。この方こそ、京丹後を盛り上げている「京丹後龍宮プロジェクト」のリーダーで、この地域のキーパーソン!
本日は、よろしくお願いします^^

名物女将が作り出した「おもてなしマイスター」

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池田さんは、隣町の夕日ヶ浦からこの間人へと嫁ぎ、主婦業・母親業に勤しんできました。
今から20年前に、“若い世代や孫の代に自分達が何を残せるだろうか?”と考え、一念発起して土地を購入。旅館を建て、イチから旅館経営を行うこと20年、今ではバリバリの経営者です。
池田さんはおもてなしの仕事を通じて、さまざまなことを学び、考える機会を得ました。

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シンガポール在住の日本人社長さんと話をしていた時「いま、世界中どこに行っても観るもの、食べるものがある。最終的に同じだったらどこで選ぶか。そこに誰がいるか、だ。」
それは、池田さんがずっと考え続けていたことと同じことでした。

良い旅とは、良い人と出逢って、その人の生活の話やいろんな話をすることで心に残るもの。ただの旅行ではなく、一歩踏み込んだ深いところまでやりとりすることで、その土地を感じることが出来る…池田さんが考えるおもてなしの極意は、「交流から生まれる感動のお土産」。

何かを観る、食べるだけでは、その瞬間に感動はしてもお土産としては残らない。そのお土産にどのような付加価値を付けるか…それはやはりだ!!と確信し、「おもてなしマイスター」の実現、そして京丹後の新しい「物語」作りが始まりました。

 

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「京丹後龍宮プロジェクト」は、京丹後の美しく豊かな自然と、ここに住む人々との交流によって、訪れる人々に癒やしと感動を提供することを目的とし、京都府商工会などの支援を受けて2014年に発足しました。今年で4年目に突入しているプロジェクトチームです。
おもてなしマイスターとは、地元の漁師、美容師、丹後ちりめん、語り部、カメラマン、山歩きガイドなどなど、その道のプロが体験プログラムに同行し、お客さんのおもてなしを行います。ああした方が喜ぶんじゃないか、こうした方が楽しいのでは?と自分達で考えてつくり出す体験プログラムはまさに、地元の人達の心が詰まった宝物。ここにしかない唯一無二のものなのです。

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“京丹後龍宮の玉手箱”と名付けられた体験プログラムは、「青の洞窟・愛の洞窟探検」「朝日を見ながら定置網漁体験」という漁師さんと一緒に海に出るものから、「ジオトレッキング」「京丹後まちあるき」といったジオパークガイドツアーや地元住人がまちを案内する散策コース、京丹後の旬を味わえる「フルーツ収穫体験」「ピチピチ握り寿司体験」も人気。地元のドローンカメラマンによる「ドローンテクノロジーを体験」のような最新技術を組み込んだものまで、現在約60近くの魅力的なプログラムがあります。それらすべてが、地元住人の手によるものなのです!

「このままじゃあかん」と立ち上がった女将、そしてチームの奮闘

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現在、国内外より年間220万人が訪れる観光地になった京丹後市。
ここでふと、よくぞこの新しいプロジェクトに町の人たちが協力したな…と思いました。
新しいことを始めるにあたって、抵抗はあったりしなかったのでしょうか?
そして何故、これだけの住人の皆さんの協力を得ることができたのでしょう…
住人&おもてなしマイスターの皆さんにもお話を聞いてみることにしました。

 

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間人にある「喫茶&軽食ブルータンゴ」のオーナー、癒やし系マダムの亀田昌子さん。
亀田さんは日々、お店で美味しいお食事を提供しつつ、丹後ちりめんマイスターとしても活躍しています。元々、織物の仕事に携わっており、着物の着付けもお手のもの。趣味として着物をきていましたが、友人から“丹後に来ても着物姿の人に逢わない”と言われたことから毎日着物を着るようになりました。厨房に立つ今現在も服装は毎日、着物です。
「京丹後伝統の丹後ちりめんを着てもらい、ぜひまち歩きを楽しんでもらいたいですね。」

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ブルータンゴは海に面している立地のため、目の前に広がる大パノラマの景色を眺めながらお食事や喫茶が楽しめます。朝どれの新鮮なお魚を中心とした日替り定食(700円)は、亀田さんのご主人が作った野菜などの小鉢も毎日変わるため地元の方にも大人気。この夏に試行錯誤しながら作ったというフルーツ甘酒スムージー(500円)も、優しい味でカフェタイムにもぴったり。お食事と喫茶を満喫しつつ、亀田さんの京丹後への思いも聞いてみました。

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「京丹後は、どこに行っても自然がキレイ。お水が美味しいから、なんでも食べ物が美味しい。お野菜でも魚でも何でも手に入るから、その日のうちに採れた新鮮なものがその日のうちに食べられるって、一番美味しいことですよね。だからここ丹後半島は豊かやなって思います。」
大好きな京丹後をもっと知ってもらいたい、という亀田さん。そんな中、地域を引っ張っていってくれる凄いパワーを持つ女将の池田さんに協力したい、自分も元気をもらえるのだと言う亀田さんは本当にイキイキとしていらっしゃいました^^

 

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お次は海のマイスター、漁師の野木啓一さん。THE海の男!な出で立ちですが、なんと漁師歴は5年。前職は丹後ちりめんの呉服屋の販売員で、呉服の売上で日本2位のセールス結果を誇ったこともあるという異色の漁師さんです。今は、遊魚船とび丸タクシー遊覧ガイドをやりつつ、趣味で鯛専門の漁師さんをされているそう。ちなみに…この辺りの漁師さんは兼業あたりまえなのだとか。漁師をやりながら機屋さん、という方もいるそうです。

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船に乗せてもらい、実際の海にでると肌で感じる「テーマパークにはないリアル」。
わたしも船で海へ出て、うねる波と潮風とかかる波しぶき、そして大迫力のジオパークにテンションが一気に上がりました!陸から海を眺めるのと、実際に船で海へ出るのは全然違うんですね。そして、海に出て毎日同じことをしている漁師さん達ですら、雄大な海の前ではただただ癒されるのだそうです。
「乗せるお客さんも毎日違う。反応を見ながら話をすることは、とても楽しい。その時その時の一期一会。お客さんが感動してくれると、説明しているこっちも嬉しくなるね。お互いに。」との野木さんの言葉が印象的でした。

 

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元々、京丹後は間人ガニがキッカケで多くの観光客で賑わっていた場所でしたが、バブル崩壊やリーマンショックなどの社会情勢の煽りを受けて観光客も激減、町の住民も徐々に高齢化し、今のこのご時世、漁師も農家も1つの仕事では生活が難しい現実に直面しました。

池田さんは語ります。
「このままじゃあかんと思って、そんな現状を変えたかった。どうしたら漁師が増えるか…それには漁師ビジネスを成功させなきゃいけません。成功させるのと同時に、訪れる人を案内することでお互いに元気をもらえるなど、角度を変えれば少し違ったビジネスも発生すると思いました。今のメンバーが組んだらもっと大きなビジネスになるとも思いましたね。

もちろん、3年でここまでやるのは並大抵のことではなかったそうで、反対意見も起こったそうですが、持ち前のバイタリティで少しずつ地元の味方を増やし、今の“人”にスポットを当て、地元住人と観光客双方が満足できるカタチをつくっていったのです。

東日本大震災以降、変わってきた人の意識

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旅館を建てた20年前から、京丹後の「未来」を見つめてきた女将の池田さん。
キレイな着物を着ておもてなしする女将ではないけれど、漁にも同行するし、一生懸命調理場にも入るし、接客も指導も、ものづくりの提案もします。それは、心をしっかり入れて、魂と魂が響き合うようなおもてなしをすることだけを考えてきた女将としての自分のポリシー。

流れが変わったのは、2011年に起こった東日本大震災だと言います。絆や思いやりという精神面がクローズアップされ、小さなところでもより人の心がこもった場所で過ごしたいと言う人が増えてきたと言います。

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今後の目標を聞いてみたところ、今は世界のインバウンド向け観光も行っており、世界中の人の第二の故郷になるような場所にしたい、とおっしゃっていました。口先だけでは魅力も続かないし、一時フィーバーしても持続ができないし、後世に残すためには、焦らずゆっくりと行っていきたいと。

 池田さんと出逢って感じたのは、まさに「パワフル」の一言。
そして、外から来たわたし達編集部スタッフも、取材を通して住人と交流し、あぁこういうことなんだな、と、心に残るお土産をもらった気がします。

風の音を聴く、波の音に耳を傾ける。紺碧の海と青い水平線に心奪われ、夕暮れの美しさに息を飲む…現地の住人と交流し、“暮らすように旅をする“ことで感じられる旅の充実感は、きっと人生の思い出として記憶に刻まれる素晴らしいものになるでしょう。
現代の龍宮物語は、京丹後を愛する地元の人々の想いで、新しい物語が紡がれていっています。

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次回、この京丹後で4年前に発見された奇跡の絶景、そしてこの夏、“愛の聖地”となった「青の洞窟」についてクローズアップ!近日公開予定です。お楽しみに!^^

■■INFORMATION■■

★女将の池田さん(間人ガニマイスター)に逢えるのはこちら

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うまし宿とト屋
京都府京丹後市丹後町間人566
TEL:0772−75−2639(京丹後龍宮プロジェクトへの問い合わせもこちら)
日帰りプラン/宿泊プラン詳細はHPより
http://u-10108.com

★亀田さん(丹後ちりめんマイスター)に逢えるのはこちら

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喫茶&軽食 ブルータンゴ
京都府京丹後市丹後町間人2624
TEL:0772−75−1459
営業時間:8:30〜17:00
定休日:水曜日

★野木さん(海のマイスター)に逢えるのはこちら
遊魚船とび丸タクシー
問い合わせ・予約:080−2527−2558(京丹後龍宮プロジェクト)
申し込み:要予約
運行時間:1時間程度※当日天候や海の状態、諸事情により運休あり

★最新情報は「京丹後龍宮プロジェクト」ホームページを御覧ください★
http://kyoto-sea.com
たくさんの魅力的なおもてなしマイスターが、京丹後でお待ちしておりますよ!

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<プチ情報>
間人(たいざ)といえばやっぱりコレ!!
ブランドガニ「間人ガニ」の名前を聞いたことがある人は多いのでは^^
京丹後の間人漁港で水揚げされた松葉ガニが「間人ガニ」と呼ばれ、質も味も最高級品!鮮度抜群なのが旨さの秘密♡11月〜3月がシーズンです。

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