京都府宇治の「朝日焼」。みなさんご存知ですか?
レポート企画を考えるにあたって、あれこれリサーチしていたら・・・
宇治で陶芸体験できんの!?
京都といえば清水焼は知ってるけど、朝日焼?
朝日焼ってどんなん?
うわ〜〜っ!なんかめっちゃステキやん♪
しかも、今から400年も前からある歴史ある窯なんやぁ・・・全然知らんかった!!
・・・と、知らなかった自分に驚きと後悔に近い感情が沸き上がりました。
で、即企画書作成→編集部に「朝日焼陶芸体験レポやりたい!」と直訴。
ということで行って来ました!やってきました!
宇治の観光スポットど真ん中でありながら、宇治川を望む緑豊かな場所に位置する「朝日焼 作陶館」。
もうすぐ梅雨時突入ですが、インドアな陶芸なら雨でも安心!手ぶらでお気軽!
『KYOTO SIDE』ライターが一日陶芸体験してきました〜♪
そもそも「朝日焼」って、どんなの???
宇治といえば宇治茶!そして平等院が有名ですが、まさに、その平等院の宇治川を挟んだ対岸に、朝日焼の窯元があります。朝日焼の歴史は古く、今からおよそ400年前の慶長年間に朝日焼初代が窯を築いたんだとか。宇治のお茶文化と共に育まれて来た朝日焼は、昔から茶器として珍重、愛用されていて、今ではモダンなデザインの商品も作られています。
「おいしいお茶を愉しむ生活」を願う多くのファンに支持されているのが朝日焼です。
昨年、15世・松林豊斎(ほうさい)氏の長男・佑典氏が16世・松林豊斎を襲名し、伝統を受け継ぎつつも、様々なワークショップや伝統工芸プロジェクトユニット「GO ON」など新たな活動もどんどん行っています。
〜朝日焼の特徴〜
その1
土モノと呼ばれる陶器と、石モノと呼ばれる磁器の両方を作っている!
土モノと石モノ両方を作る窯元は珍しいんだとか。お茶文化が変化、発展する中で、それぞれの持ち味を活かしながら時代の流行、リクエストに応えて作っているそうです。
その2
宇治で採掘した燔師(はんし)の土を使っている!
この土の特徴は薄く赤い朝日のような発色と斑点模様の焼き上がり。焼成後の作品は、一つ一つ違いのある焼き上がりになります。陶芸体験でもこの土を使います。
その3
持ち手のない「宝瓶(ほうひん=急須)」
一般的な宝瓶(ほうひん=急須)は持ち手がありますが、朝日焼の宝瓶には元来持ち手がありません。熱いお湯だと持ち手がないと熱くて持てませんが、ぬるめのお湯で淹れて味わう宇治茶の文化に由来するそうです。
宇治の観光スポットど真ん中の好立地!!
京阪「宇治」駅を出ると、右手にすぐ宇治川が見えます(JR宇治駅からアクセスも可)。
宇治川を右手に見ながら、駅から遠ざかる方向に歩いて行きます。
宇治の観光スポットど真ん中というのに、緑もあって、歩いているのが心地いいんですよね〜。
宇治駅から5~6分も歩くと、朱色の欄干が鮮やかな朝霧橋が見えてきます。するともう少しで到着です。
橋の袂の側に「福寿園」の名前と並んだ「朝日焼 作陶館」の看板が目印。
看板を左折し、福寿園の建物の向かいが「朝日焼」です。
まずは朝日焼が展示されているギャラリーへ
「朝日窯元」と書かれた素敵な暖簾と茅葺き屋根の風情ある建物が、朝日焼の作品が並ぶ展示室・ギャラリーです。
この日は先代の奥様が笑顔で迎えてくれました〜。やはり溢れ出る気品が違います。素晴らしい作品と相まって、一気に優雅な雰囲気に包まれます。
事前にネットや電話で陶芸体験を予約しているお客さんは、まず、こちらで予約している旨を伝えます(陶芸体験は要予約)。
一日陶芸体験は10時30分〜と14時〜なので、少し早めに来てギャラリーで作品を見て、イメージと創作意欲を膨らませるというのもイイかもしれませんね♪
当然、こういう出来にはなりませんけどね(笑)。あくまでイメージ、参考という意味で。
予約している旨を告げると「朝日焼 作陶館」へ案内してもらえます。
途中、立派な登り窯も見ることができるんですよ♪
ギャラリーに来ただけのお客さんは見ることのできない、陶芸体験をする方しか見られない登り窯。
年に2度だけ火が入れられる登り窯。これは一見の価値ありです!
ギャラリーで作品を見て、そして、この見事な登り窯を見て、どんどん創作意欲がアップしてくるわけであります!!
登り窯の前を通り、焼成を待つ作品たちの前を過ぎると「朝日焼 作陶館」の暖簾が見えます。
いよいよ陶芸体験スタート!!!
暖簾をくぐると陶芸体験のスペースが広がります。
さぁ〜!いよいよです!
今回教えてくださるのは吉田正和先生。
陶芸の道に進む前は、IT関連の会社にお勤めされていたんだとか。
吉田先生はじめ、朝日焼の陶芸体験で指導してくださる先生はみなさん
朝日焼の作品制作もされる方々というのも、教えてもらう側としてはテンションがあがりますよね!
まずは、どういう作品を作るかを決めます。
コレ!と決めている人は、先生にそれを伝えます。
決まっていない人は、これまでの体験者の方の作品が並んでいるので
それを参考にして決めるのもいいでしょう。
で、今回、私は、朝日焼といえばやはりお茶!ということで、
こういう感じのお茶碗を作ることに決定〜〜〜!
ちなみに、
一日陶芸体験には「土ひねりコース」と「電動ロクロコース」があるので、そこは事前に決めて予約する必要があります。
どちらにするか迷っちゃうという方は、事前に電話で相談してみてもいいかもしれませんね。
先生曰く、映画「ゴースト」のシーンにもある電動ロクロは「THE 陶芸」というイメージが強いので海外の方にも人気だそう。
SNSなどにアップする上でも、「陶芸感」は出るかもしれませんよね。
ただ、初心者は電動ロクロの扱いに慣れないので、作るモノの形が限られるかも?とのこと。
一方、「土ひねり」は初心者であっても、自分のイメージしたモノ、「想い」を形にし易いと。
さらに、朝日焼 作陶館の土ひねりは、棒状にした土を繋げていくスタイルではなく、素焼きの型を使って作る「たたら作り」なので初心者でも失敗しづらいそうです。
そのお話を受けて、「想い」を形にすべく「土ひねりコース」を選択した私であります。
はじめに先生がお手本披露
体験者のリクエストに合わせて、まずは先生がひと通り作って見せてくれます。
こうして、ああして・・・と説明しながら、手を動かし・・・平べったかった土がみるみる形を変え、ものの5分、10分で完成〜!
ほほぉ〜〜、なるほど〜〜、うむ、出来る、出来そうな気がする〜〜〜!と、見ているこちらはなるわけです。なったわけです。
爪もばっちり切ってきたし、ブレスレットに指輪もはずし、準備万端。やる気満々!さぁ、やるぞ〜っ!!
では、いざ実践!
先生のお手本を思い出しながら、手順を進めて行きます。
えーと・・・まずは土の表面をヘラでならすんやったよね〜。
裏返して両面やるんやよね〜。
あれ?で、次どうやったっけ???
となっても、心配ご無用!もちろん、わからないところは教えてもらえますからね♪
取材やプライベートで何度か陶芸体験をしたことがある私ですが、必要以上に手も口も出さない、でも、わからないところや、怪しいところは助けてくれる。そんな印象です。
自由に作れて、イイ塩梅に指導してもらえる。「あ、直された、あぁーアカンかったんやな」という感覚がゼロでした♪
「お客様の想いを大切にしながら陶芸を体験頂く」が「朝日焼 作陶館」のモットーだそう。
「出来る限り自力で」
「自分のああしたい、こうしたいを形にさせてもえる」
サイコーです!
〜工程はこんな感じ〜
1.「たたら」と言われる、この平べったい粘土の表面をヘラでならす
これ、見てる分には簡単そうですが、案外力加減が難しいです。
2.両手で粘土を持ち上げ、型の中心に乗せる
粘土の扱いに慣れないので、持ち上げるだけでややドキドキ(笑)。
↑ 真剣そのもの。気分はすっかり陶芸家です。気分だけは。
3.ペタペタと掌で粘土を型に沿わせる
自信満々で中心に乗せたつもりが、全然中心じゃなかったことがココで発覚!でも大丈夫!
4.型の縁から1センチほど余裕を持たせて、余分を竹串で切り取る
ビクビクせず思い切りの良さがポイント(私の個人的見解)!
5.台を回しながら、「切り弓」という道具で縁の切り口を整える
これがねぇ・・・なかなか難しいのです。
↑ 先生と「初めての共同作業」です(笑)♪
6.余った粘土で型が動かないように数カ所固定
これは簡単♪唯一余裕をもってできた工程です(笑)。
7.竹串で「高台(こうだい)」と呼ばれる台を付ける場所を予め印付け
綺麗に繋がった○になるか!仮に失敗しても指でならして消せばやり直しできるので安心を〜。
↑「ほらね、こうやって指で消せるのでやり直しできますよ」のシーン。はい、一回やり直しました(笑)。
8.余った粘土で高台(細長い棒状の形)を作り、印を付けたところに乗せ、指の腹でなじませる
爪が伸びているとやりづらいので切っておくのがベター。高さや形など、高台は作品を印象付ける大事な部分なんだとか。
↑ 私があまりに集中しすぎて真顔ばかりなので、ここで一息とカメラマンさんリクエストによる先生とのにっこりカット。
9.「切り弓」で台の底になる部分を整える
難関の「切り弓」再び登場。底がガタガタだと器自体がガタガタするので、ここは慎重に。かつ大胆に。
10.竹串でサインを施す
私はシンプルに名前だけにしましたが、日付やメッセージ、種類豊富なスタンプを押してもOK!
11.手作りスタンプや竹串などを使って飾り付け
数十種類ものスタンプでオリジナルの柄が付けられるのもココならでは!マンガのキャラクターものは子どもや海外の方に人気なんだとか。
↑ 撮影用に一応少し笑っていますが、撮影されていることも気にせず、ほぼ終始真顔です(笑)。
12.柄付けが終わったらひっくり返して、型を取り外す
きのこのような型が気持ち良くカパっと外れます。
13.なめし革で縁を美しく整えれば完成!
台をくるくる回しながら筋などが無くなるまで革を滑らせ、これでよし!となれば完成です♪
出来上がり〜〜〜!!!!!
厄除けの意味もある青海波文様のスタンプをチョイスした私。
コレ難しいかも?難しいやつ選んだんちゃうの!?でも、やるっきゃない!と押し続けた私。
やりました!出来ました!
ミラクルなことに青海波の柄も一周ぐるっと綺麗に繋がり、満足のいく作品が出来ました〜〜〜!!
あまりに嬉しくて、「いいわ〜〜、いいわ〜〜」と360度なめまわすように眺め、自分の作品に見惚れる私。
そんなど素人の自画自賛にも「ほんといいですね。いいのが出来ましたね」と合わせてくれる先生たち。
ほんといい作品が出来ました!
吉田先生、ご対応いただいたブランドマネージャーの松林俊幸さん、どうもありがとうございました!!!!
誇らしげな表情で、先生と一緒に記念撮影(笑)。
↑ 見よ!この「やりきった感」いっぱいの表情
一ヶ月半後の焼き上がりをお楽しみに♪
陶芸体験終了後、カルテに自分の名前、連絡先などと共に、作品裏に施したサインや作品のイラストを記載します。
このカルテによって、他の方の作品と入れ違ったりすることのないように管理されていますので、しっかり記入してくださいね。
焼き上がりはおよそ一ヶ月半後(粘土に空気が入っていたりすると、稀に焼き上がりにヒビの入ることがあるんだとか。その場合は、再訪問による陶芸体験チケットがもらえます)。
配送を希望される方は配送のところにチェックしてください(配送料別途)。
観光や遊びがてら宇治に再訪して取りに来るというのもイイですよね。
7月15日に「朝日焼 shop&gallery」がすぐ近くの場所に移転し、NEWオープンされるので、私はその頃に再訪させてもらう予定です。
感性が研ぎすまされ、集中できる陶芸が私は好きです。京都の街中とはまた違う、喧噪を離れ、緑と宇治川のせせらぎを感じる宇治の朝日焼窯元で陶芸体験。みなさんもぜひ♪
朝日焼 作陶館
宇治市宇治山田11番地
電話:0774-23-2517
営業時間:10:00〜17:00(陶芸体験は10:30〜12:30、14:00〜16:00)
定休日:月曜日(月曜が祝日の場合、予約にて営業)
陶芸体験料金:土ひねり3240円〜、電動ロクロ3780円〜(絵付け体験3240円〜もあり)
※陶芸体験は要予約(電話orインターネットにて受付)
※ギャラリー移転のため、6/18〜7/14はギャラリーのみclose。陶芸体験は通常営業。7/15よりすぐ近くの新店舗にてギャラリー再開
http://asahiyaki.com/sakuto/
中野里美
調べている時からワクワクが止まらなかった朝日焼の陶芸体験。ほんと楽しかったです!これまでも何度か陶芸体験はしたことがあるんですが、お世辞でも何でもなく、これまでで一番楽しく、満足のいく作品ができました♪7月15日オープンの新店舗ではお茶を活かした色んなコラボイベントも企画予定とのことなので、そちらも楽しみです♪