久美浜カキの魅力を発信するため「風蘭(ふうらん)の館」に久美浜町で唯一のカキ小屋を昨年12月にオープンした、カキ養殖漁師の浜上誠(はまがみまこと)さん。
民宿やツリーハウスの管理、シーカヤックインストラクターなど何足ものわらじを履き、久美浜の観光を盛り上げる浜上さんに海の上できれいな景色を眺めながらお話しを聞いてみました。
取材日は、とっても穏やかな天気だったので、浜上さんにカキの養殖場まで愛船「ブルーシャーク号」で連れて行ってもらいました。同じく地域活性化に賛同して週末はカキ小屋で働いている仲間の仲地久一さんも付き添ってくれました。
久美浜に来て食べてほしいのは「カニ」じゃなく、「カキ」
京丹後市久美浜町は昔からカキの養殖が盛んだったことはご存知でしょうか。現在でも100軒以上、カキ養殖をしている人はいるそうで、久美浜町の重要な産業のひとつになっています。「父親が趣味でカキの養殖をしていたことがきかっけ」と、浜上さん。家庭菜園ならぬ家庭用カキ養殖場を持っているなんて、カキが好物の私には久美浜の人がとってもうらやましく・・・。
そんな古くからカキ養殖が盛んな町なのに、料理旅館ではフルコースが成立する食材かつ日本海をイメージしやすいということで、久美浜町で水揚げされていない「カニ」の料理を観光客に提供しているといいます。「久美浜=カニ」のイメージを払拭するため、その第一歩としてカキ小屋をオープンし、「クミハマ×カキムーブメント」を起こそうと立ち上がったのです。今では浜上さんの運営するカキ小屋に興味を持つ同業者も徐々に増えてきたそう。「まずは自分が育てたカキをたくさんの人に食べてもらって、カキ小屋を成功させることが次に繋がる」と浜上さんは考えます。
生ガキ養殖にチャレンジしたい!町おこしの第二歩目
「加熱しないと食べられれないカキしかないので、料理の幅が広がらない。せっかく、久美浜はカキの町なんだから、もっとたくさんの観光客に食べてもらいたい。」と、浜上さん。生ガキを養殖することができれば、より久美浜の特色を生かした料理で観光客をもてなすことができ、料理旅館も元気になって、さらに久美浜カキをPRできるといいます。
いくつものわらじを履いて多忙な毎日を送っている浜上さん。雨ニモマケズ風ニモマケズ・・・。「忙しいけどめっちゃ、がんばってます。」と、海の上で生き生きとした表情の浜上さんからもらった一言で私も元気をもらいました。
カキの生食用と加熱用って何が違うの?
生食用と加熱用、実は鮮度の違いではないといいます。養殖する海域の水質によって加熱用と生食用に分かれるのだとか。
久美浜湾は山々に囲まれており、山から湧き出る水や、約10本もの河川が流れ込んでいます。このことにより豊富な栄養分がありプランクトンが多く、通常は3年くらいかかるカキ養殖が久美浜湾では1年で身が大きく成長し味も濃くなります。
カキ養殖にはもってこいの抜群の環境をフルに活かすため、滅菌システムを導入し「久美浜のカキを生で味わってもらえるようにしたい」と浜上さんは新たな目標を語ります。
カキの水揚げ風景をご紹介
「ブルーシャーク号」で爽快な海風を浴びながら養殖場まで、約5分ほどで到着。竹を紐で組んだ、養殖筏(8メートル×12メートル)は近所の仲間数人と協力して陸上で作り、それを船で引っ張り養殖場へ持ってくるそう。
青いカッパは浜上さん。黄色は仲地さん。
春にホタテの貝殻にカキの赤ちゃんを付ける「採苗(さいびょう)」を行うところからスタートして、収穫まで約1年。水温がぐっと下がると大きくて美味しいカキになるといいます。
クレーンで、カキのついたロープを1本ずつ引き上げていくと、黒っぽい色やおうど色っぽい海藻に包まれたカキの塊が4つほど現れました。
その見たことないドロドロした海藻の姿に、パイレーツオブカリビアンの世界感を感じつつ、浜上さんと仲地さんのテキパキした動きについていけず、カメラマンさんとアタフタ・・・(笑)。
1つのホタテの貝殻(採苗)に約50個ほどのカキがくっついているそうです。「いつもは一度に、スーパーの買い物かご100個分、船が沈む寸前まで水揚げして帰ります。」と、ワイルドな浜上さん。水揚げしたカキは、手作業でひとつずつ丁寧にばらして、きれいに洗浄したら、いつものカキの姿になるということです。
今年はおいしいカキになった!
帰りの船で、ものすごい大きなエンジン音のなか聞こえるかどうかわからないかも?と思いつつ、カキ養殖の楽しいところ浜上さんにうかがいました。
「・・・。よく育ってくれたらうれしい。」と、クールに一言。去年は水温が下がらなかったのでうまくいかなかったことも聞いていたので、その一言は浜上さんの満足度であり、今年のカキの美味しさに直結しているのだと感じました。
わたしもカゴを持たせてもらいましたが、ずっしりとかなり重たかったです。これを軽々と100個運ぶとはさすが海の男です!
最後の別れのシーン
岸についたころには、夕暮れ空になっていました。最後に、夕日に照らされる浜上さんの決めポーズを撮影。「情熱大陸みたいですみません」なんて、カメラマンさんが冗談をいいながら、海の男イケメンシリーズ第1弾(勝手にそう名付けているだけ)の取材を終えました。
★特別にイケメン漁師のスライドショーをどうぞ★
「また、ぜひカキ食べにきてくださいね!」と、浜上さん&仲地さんに笑顔で挨拶をしてもらって、私たち取材班は、「また来ます~!」と、約束して帰路につきました。
プロフィール
養殖漁師 浜上誠さん
カキ養殖を営む傍ら、久美浜の町おこしに一役かって、宿「風蘭の館」、蕎麦処、カキ小屋、ツリーハウスの管理、シーカヤックインストラクターなど、久美浜町の観光業に従事する。
★風蘭の館 宿・蕎麦処・カキ小屋・ツリーハウス
http://www17.plala.or.jp/huuran/
↓ツリーハウスから海を眺めることができます
★かまい海岸シーカヤック
http://www17.plala.or.jp/kamaiseakayac/
さかもとみえ
大雪続きでスケジュール延期になっていたカキ取材。 浜上さんに「雪どうですか?」と 何度も連絡をとりながらようやく実現しました。 大雪とか厄介だな・・・とブルーになっていた私。 雪が降って海水の温度がグッと下がったから、 カキが美味しくなっている!と教えてもらい、 最終的に大雪に大感謝した、一喜一憂の半月でした。