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旅で出逢う人−美山の移動式スーパー店主・中島輝彦さん−

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みなさんは最近、旅をしましたか?旅のお楽しみのひとつは「予期せぬ出逢い」ですよね。
美山での取材中、わたし達KYOTO SIDE編集部は、ある一人のユニークなおっちゃんと偶然出逢いました。

これはその時の旅の日記です。

チャーミングなおっちゃん“テルさん”との出逢い

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ある平日の午後、日本の原風景ともいえる人気の観光地、美山・かやぶきの里で取材をしていると、爆音の演歌を流しながら突如視界に入ってきた、ちょっぴりくたびれたマイクロバス。停車したのでおそるおそる中をそっと覗いてみると、なんということでしょう…!!

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食料品や日用品がぎっしり、冷蔵庫まであるではないですか!
このバスの正体…それは「移動式スーパーマーケット」だったのです!!

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そしてそこには可愛いおっちゃん!!!(ご店主)の姿が。赤いキャップをジャスティン風にかぶり、ニッコリと微笑んでこちらを見ました。何度か美山に取材へ訪れていますが、見たことない…光景。あまりにもピュアな笑顔を見せてくれるので「美山の妖精」か!?と目を疑いました。

生まれて初めてみた動くスーパーに大興奮の編集部スタッフは質問攻撃開始。(なにも買わずにお話だけ聞いてすみません)そんなわたし達に「今日はギャルとトークできて嬉しいねぇ」と気持ちのいいスペシャルヨイショで対応してくれた中島輝彦(なかしま てるひこ)さん。美山生まれ、美山育ちの御年68歳。趣味は鮎釣り野鳥観察と少年のよう。ここ美山に中島商店を構え、昭和48年から移動販売も始めました。

 

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平成に入ってからも移動販売スタイルを行っているのはテルさんのとこ1軒のみ。(ただし美山町内にスーパーはありません。)大ボリュームの演歌には意味があって、年々耳が遠くなっていく高齢者のお客さんに移動販売車が来たことを知らせるためでした。「押し売り、訪問販売をしないことがモットー(笑)」とお客さんに合わせた付き合い方のコツを話してくれました。

ファンキーな輝3PHOTOで見る美山

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自宅兼実店舗の中島商店へ招待されました。そこへ奥さんの“みっちゃん”こと美千惠さんがアルバムをもって登場。テルさん夫婦&美山の昔を振り返りました。

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輝1)お父さんとのファンキーショット

THE昭和のひょうきんな親子。お父さん(左)とテルさん(右)。写真のコメントに一同、爆笑。
「お父さんと僕 ズドンと一発 ア ヤラレタ」

テルさんのギャグセンスは今も健在です!(笑)
背景がかやぶき屋根なので、逆に古さを感じさせないところが興味深い。テルさんの実家も、食料品から日用品まで取りそろえる個人商店。「親父はお客さんから愛される店主だったんかもなぁ」。そのDNAは脈々とテルさんに受け継がれていました。

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輝2)結婚&お見合いの今昔

 美山の自宅で行われた結婚式の写真。お二人の馴れ初めを聞き、ほっこり。知り合いを通じてセッティングしてもらったお見合い、場所はなんと「町の診療所」。その頃ちょうど、テルさん&みっちゃんの家族が通院していたそうで、二人が緊張することなく顔を合わせられるようにと、知り合いが配慮してくれたそうです。神対応ならぬ、神配慮。常識や形式にとらわれず、人の気持ちに寄り添って考えることの大事さを思い出しました。

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輝3)中島輝彦としてのスタート

紅白のロープでしっかりと縛られた、おめでたいトラック。荷物は「テルさんの婿入り道具」。6人兄弟の末っ子だったテルさんは、”みっちゃん”の元に養子としてやってきました。(テルさんの実家から車で30分ほどの場所)その後、”みっちゃん”の実家である中島商店を継ぐことになり、平行して移動販売を始めることになります。

「美山に恩返しをしたい」…。ココロの声

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約45年、夫婦二人三脚で続けてきた商店&移動販売。
「美山の地で商売させてもらって、子供3人立派に独立した。僕が病気で倒れた時も、“みっちゃん”が大きなバスのハンドルを握って休業することなく中島商店を支えてくれた」。

婿養子としてこの村に来て幼馴染のように仲良くしてくれたご近所さんや、買い物しに来てくれた地域の皆さん、そしていつもそばにいてずっと支えてきてくれた奥さんに「恩返しをしたい」と感謝の言葉を綴ります。今は、高齢化した常連さんたちが安心して暮らせるように電話注文や自宅への配送などをして暮らしをサポートしているそうです。写真左上は、「御通帳(おかよいちょう)」。毎月まとめて集金しているお客さんも多いとか。

「予期せぬ出逢い」、わたしを変えたことって?

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今回ひょんなことから出逢った美山の移動式スーパーで、人と人が支えあう現場を目の当たりにしました。そこにあったのは商売するご店主と、お客さんとの「恩」のキャッチボール。都会ではシステム化・サービス化が進みとても便利で快適になった一方、失われた人間関係がここにはありました。

今も昔も美山で頑張っているテルさん!わたしに勇気をくれてありがとう!!これまで仕事でお世話になった方々に感謝の言葉とともに“恩返し”をしなくちゃ!と思いました。

旅先での予期せぬ出逢いは、見失いかけていた“大切なコト”を思い出させてくれるきかっけになるのかもしれませんね。

今度、ちょっぴり田舎、旅してみませんか。

 

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