京都三大祭の一つ・時代祭。例年、10月22日に行われる、秋の京都の風物詩です。各時代の装束に身を包んだ約2000人が、およそ2kmにわたって都大路を練り歩くビッグイベントとあって、毎年多くの人が観覧に訪れるのですが……。
残念なことに、今年は台風21号の接近によって中止!23日の順延も行われないそうです(涙)過去、明治天皇の崩御や関東大震災、戦争の影響、昭和天皇のご病気を理由に中止となったことはありましたが、天候による中止は初めてとのこと。新たな歴史が刻まれる年となりました。
とはいえ、一度は抱いたお祭り気分、そう簡単には消えません。せっかくなので、時代祭がどんなお祭りなのか、ちょっとしたヒミツを探ってみましょう。
時代祭ってどんなお祭り?
明治28年から続く平安神宮の祭礼で、神宮の創建と平安遷都1100年祭を祝う行事として始まりました。その頃の京都は、幕末の戦乱ですっかり荒廃。天皇陛下が遷られ、事実上の首都が東京になってしまったことで、人々の心も大打撃を受けていました。
状況を打破し、京都を復興したい——。
そんな情熱に突き動かされた市民が、オール京都体制で取り組んだ集大成。それが、あの壮麗な平安神宮の社殿と時代祭なのです。御祭神である桓武天皇と孝明天皇の御神霊に、市民の暮らしぶりをご覧いただき、平和を祈る。そんな意味を持つ時代祭の行列の中核は、御祭神が乗る御鳳輦(ごほうれん)を中心とする神幸列。各時代列は、そのお供なんですね。
通常は12時15分に京都御所を出発し、烏丸通・御池通・三条通を通って14時20分過ぎに大鳥居を通過。14時30分に平安神宮に到着するスケジュールです。
行列に参加しているのはどんな人?
明治28年に、京都市全域で構成される市民組織「平安講社」が設立され、以来、お祭りの運営を担ってきました。現在は、京都の旧学区や地域で分けた11の平安講社に加え、京都青年会議所や京都花街組合連合会など、多くの団体が参加しています。
市民の熱意から生まれたお祭りなので、やはり参加できるのは原則京都市民のみ……ですが、学生は別。近年は京滋アル対(京滋地区学生アルバイト ・下宿対策協議会)加盟校の大学生を対象にアルバイトの募集があり、応募者は参加することができるんです。日給6700円で時間は7時30分〜16時頃(実働3時間程度)。朝食・昼食の支給もあるとのことなので、意外と“いいバイト”かもしれません。
少しずつ時代列が増殖。いつの日か新選組も!?
時代祭が始まった当初の時代列はわずか6列。延暦時代の「文官参朝列」「武官出陣列」、藤原時代の「文官参朝列」、「城南流鏑馬列」「織田信長上洛列」「徳川城使上洛行列」だったそうです。
その後、京都市域が拡大したため、列を追加。昭和7年に「楠公上洛列」と「豊公参朝列」、昭和25年に江戸・中世・平安時代の女人列、昭和41年に「維新志士列」、平成19年に「室町幕府執政列」と「室町洛中風俗列」が加わりました。
女性のファンも多い新選組も参加して欲しいところですが、維新志士がいるのでは難しそうですね。しかし、昔は逆賊とみなされていた足利将軍を中心とする「室町幕府執政列」が加わったことを思うと、いつの日か、このハレの舞台に登場する日が来る……かも!?
高いものではウン千万!絢爛な衣装は必見
時代祭の一番の見どころといえば、やはり絢爛な衣装。調度や祭具も含めると1万2000点にも及ぶというそれらすべてが、実は専門家による時代考証のもとに復元されたホンモノなんです。そこに込められたのは、1000年もの間、都であり続けた京都の誇りと技術の粋。衣装が傷んだら伝統服飾工芸協同組合が修理を行い、約20年に一度、長いものでは3〜4年かけて新調されるそうです。
ちなみに、最も高価な楠木正成の大鎧は、なんと制作費用数千万円!! そんな貴重な時代祭の衣装は、平安神宮の境内にある収蔵庫に保管され、1年間出番を待ち続けているそうです。