京都を代表するご当地丼の衣笠丼。さて、どんな具材が入っているか、あなたは答えられますか? 今回は、衣笠丼をはじめ、京都ならではの丼ものをピックアップ。木の葉丼やハイカラ丼、ばんばらこ丼と名前もユニークな京都の丼の魅力をご紹介します。
京都の定番丼!衣笠丼
宇多天皇と衣笠丼のつながりとは?
京都のご当地丼として有名な衣笠丼。その中身はというと、おあげ(油揚げ)と九条ネギをダシで煮て卵で閉じたもの(作り方はお店によって異なります)。おだしを吸ったおあげさんはまろやかでやさしいお味。肉類を一切使っていないのにボリューミーで食べ応えも◎な丼は、京都府民絶愛の丼なんです。
「衣笠丼」というなんとも雅やかなネーミングの由来は、金閣寺の近くにそびえる衣笠山。平安時代、宇多天皇が真夏に「雪をかぶった山を見たい」と望まれ、白い絹を集めて山を覆い雪に覆われた山に見立てたことから、その名前が付いたといわれています。おあげと九条ネギにふんわり白身の卵がのった姿が、青々とした木々の上に白絹をかけた衣笠山を思わせることから、衣笠丼と呼ばれるようになったといわれています。(他にも、刻んだおあげを山に見立てたなど、名前の由来には諸説あり)
衣笠丼の美味しさの秘密に迫る!
衣笠丼は、京都市内を中心に、大衆食堂やそば・うどん店などで食べられますが、今回は、京都駅の南に店を構える殿田食堂さんにご協力いただき、衣笠丼の作り方を見ていきましょう。
殿田食堂さんは、1964(昭和39)年の創業以来、地域の人々を中心に親しまれている食堂。
近年は近くにホテルが建つようになったことから外国人観光客も多く通うようになり、またSNSやTVの影響で若い世代も訪れる人気店となっています。
それでは早速、衣笠丼を作っていただきます。まずは、薄口・濃口醤油、みりん、砂糖で作る「どんじり(かえし)」に、うどんにも使う一番ダシを加えて火を通した「丼のダシ」を鍋に入れ、タマネギと短冊状に切ったおあげを入れます。ちなみに京都のおあげは他の地域と比べて大きいものが一般的。あらかじめ甘めの味付けをしてから調理するお店もありますが、殿田食堂さんでは、鍋で味を染みこませるようにしています。
強火でしっかりと煮詰めたところに卵を投入。
最後に地元・九条の特産でもある九条ネギを加えて仕上げます。
そして出来あがりがこちら。とろんとした卵におあげと九条ネギがからんで、上品な風味ながらも満足感のある美味しさ。お好みで山椒を加えて食べるのも京都ならでは。香りがアクセントになって、また違った美味しさを楽しめます。
関西では定番の丼!木の葉丼
木の葉に見立てた具材とは!?
細長く刻んだカマボコに甘く炊いたシイタケ、青ネギを卵とダシで閉じた「木の葉丼」も、京都をはじめ、関西では長く親しまれている丼メニューです。
具材を舞い散る木の葉に見立てるなんて、まさにポエム! 殿田食堂さんでも定番メニューとして長く愛されており、まる3日かけて仕上げたシイタケは、甘辛さがしっかりと付いていながら後味のくどさが全くないことに驚き!このシイタケから旨みとダシが他の具材にしみわたり、味わいに深みを与えています。
たぬきうどんが有名なことで知られる殿田食堂。ですが、今回作っていただいた2つの丼も、甲乙つけがたい美味しさ。2つともペロリといただいちゃいました! 京都の玄関口、京都駅から徒歩圏内で向かえることから、地元の人はもちろん、多くの観光客でにぎわう、京都を代表する食堂。ぜひ、足を運んでみてはいかがでしょうか。
【丼のお値段】
衣笠丼 750円
木の葉丼 800円
一口食べれば文明開化の音がする!?ハイカラ丼
いったいどんな具材が入っているの?
「ハイカラ丼」は、天ぷらを揚げたときに出る天かす(揚げ玉)を、ダシと青ネギ、卵で閉じた丼。かまぼこやシイタケを入れる店もあります。大阪を中心に関西で食べられている丼もので、天かすには野菜や魚貝など色々な素材が染みこんでいるので、お店によって味わいが異なるのも特徴。一口いただけばわかる、卵とじ丼とは違ったほわほわ&ふわふわ感は秀逸!じゅんわり優しい味わいに山椒を加えればピリッとした辛さがマッチして、これまた美味! ぜひお品書きに書かれていたら、一度チャレンジしてみてください!
丹後地方の名物丼「ばんばらこ丼」
「ばんばらこ」ってどういう意味?
「ばんばらこ」とは、丹後地方の方言で「散らばった」を意味します。「ばんばらこ丼」は、天橋立周辺の飲食店で提供される丼の名称ですが、特に決まった形はありません。
ただ丼の定義はあり、
①丹後産のお米を使用
②メイン食材も丹後産
③海の京都・丹後の魅力が詰まった丼であること
④丹後の自然と神様に感謝して作ること
上記の4つの条件を満たしたものが「ばんばらこ丼」として認められています。
丹後の特産であるカニや鯛、天然牡蠣に板ワカメなど、お店によって使う食材、姿カタチもまったく違う「ばんばらこ丼」は、丹後の美味しい魚介をふんだんに使ったオリジナルの丼もの。いろいろなお店を食べ歩いてお気に入りを探すのも楽しそうですね♪
http://www.amanohashidate.jp/banbarakodon/
地域やお店によって具材や由来の解釈が多少変わってきますが、多くの人々に愛されているご当地丼。京都を訪れたなら、ぜひ一度食べてみてくださいね!
■■記事協力■■
殿田食堂
京都府京都市南区東九条上殿田町15
075-681-1032
10:30~17:00
水曜定休