昔から“ものづくり”がさかんな京都。故に京都発の有名企業や商品もたくさんあります。そんな中、ホビー業界で注目を集める企業が京都に!今回は、リアルで美しいスーパードルフィーを製作する株式会社ボークスにお話を伺いました。
プラモデル屋さんから始まったホビー会社・ボークス
株式会社ボークスは京都市下京区に本社をおき、創る企業「造形村」、製造する企業「ヴァージナルアート」、そしてお届けする企業を「ボークス」として設立されたグループ企業です。
1972年に創業し、始めは男の子向けのプラモデルを販売するお店でした。次第にガレージキットなど取り扱う商品を増やす中、「女の子向けの商品を置いてみよう」と約20年前に開発されたのが、スーパードルフィーでした。
スーパードルフィーとは?
ドルフィーは、1998年にボークス・造形村が独自に開発した人形。従来の球体関節人形とは違い、フィギュアの美しさと*球体関節人形の豊かなポージングが融合されています。このドルフィーは世界で初めてカスタムができる人形としてホビー業界に新たな風を吹き込みました。
*球体関節人形…手足の関節に球体を使い、ゴムひもでボディと手足をつないだ人形のこと
ドルフィーの大きさはボディタイプによって異なり、現在18種類以上。生まれたばかりの赤ちゃんの姿から大人になる手前の姿のものまで分けられています。加えて、それぞれのサイズで男女のタイプと、性別がない天使タイプもあります。
また、重さは60㎝のもので約2㎏。意外に重いように感じますが、それはドルフィーが「抱き人形」として開発されたからです。しっかりした重みがあるからこそ、抱き上げた時に存在感や安心感があり、一層愛おしく感じられます。
そして、先述したようにこのドルフィーの一番の醍醐味は、自分好みにカスタムできること。
フルチョイスモデルは、その名の通り、すみずみまでカスタムできます。まずはドールアドバイザーによるカウンセリングでボディやヘッド、スキンカラーなどを決め、さらにメイクもイメージを伝えれば施してもらえます。まさに自分だけのドールの誕生です!
お迎えまでに2~3か月と時間はかかりますが、手元に届いた時の感動はひとしおですね♪
ほかにも洋服やウィッグ、靴などすべて専任のスタッフがコーディネートした、コーディネートモデルや、メイクアップアーティストによってメイクされ、オリジナルのドレスを着た一品もののワンオフモデルなど、イベントなどでお披露目される限定モデルがたくさんあります。
「今すぐお迎えしたい!」という人には即日お迎えできるスタンダードモデルもありますよ♪
スーパードルフィーのための美術館・霞中庵へ
魅力たっぷりのスーパードルフィー。実は会員限定ではありますが、京都の嵐山にある「天使の里 霞中庵(かちゅうあん)」でさまざまなスーパードルフィーに会えるとのこと。今回は特別に中を見学させてもらいました!
「天使の里 霞中庵」は、もとは近代日本画の先駆者である竹内栖鳳(たけうちせいほう)の記念館であった場所をスーパードルフィーの美術館として2003年に整備されました。嵐山の借景や保津川の景色を模した回遊式庭園、数寄屋建築の粋をこらした建物はそのまま保存し、国内外から訪れるスーパードルフィーのオーナーが楽しめる特別な空間として使われています。
展示室や撮影スペース、お迎え式etc…至れり尽くせりの施設が満載!
天使の里には“スーパードルフィーの生まれ里”として、様々な施設が設けられています。 では天使の里の中を見ていきましょう!まずは1階。こちらでは、庭園を見ながらくつろげる喫茶室や来場記念の撮影フレームなどが用意されています。さらに「天使の里 降臨台」では、希望すればスーパードルフィーをお迎えするためのセレモニーが行われます。白いレースカーテンの向こうにはドルフィーを抱いた聖母さまが。一度しかないお迎えの瞬間を、素敵な時間にしてみてはいかがでしょう?
そして2階の展示室にはスタンダードモデルがずらり。登場初期のものから最新のタイプまで真っ白の衣装をきたドルフィーが並ぶ様子は壮観です。比べてみてみると、初期のものは関節が大きかったり、自立できなかったりと人形チックですが、だんだんと人間に近い自然なボディへと改良されているのが分かります。
※館内の展示スペースは撮影禁止ですのでご注意を。
もうひとつのお部屋には限定モデル展示室があり、歴代のスーパードルフィーたちが揃うきらびやかな空間です。おとぎ話や海賊などそれぞれのストーリーに沿った装いのドルフィーが並び、見ているだけでワクワクしますよ!
中には沖田総司や伊達政宗に扮したドルフィーや、ブラック・ジャックなどアニメキャラクターとコラボしたドルフィーも。衣装や小物もしっかりと作り込まれていて、まるでその世界に引き込まれてしまいそうになります。
3階は通路に出てすぐのところで「天使の里 おひなまつり」バージョンドルフィーがお出迎え(~3月11日まで)。凛とした美しさ漂う男雛と女雛、そして三人官女、ちりめんの着物をきた「いちまさん」がたたずむ姿は一幅の絵画のよう。
そして、展示室にはおひなまつりに合わせたワンオフモデルが並びます。レトロな和模様のはかま姿や、着物をドレスにアレンジした子などさまざま。この子達の衣装は、もともとはドルフィーを購入したお客さんが作ったものもあるというから驚きです。
栖鳳が残した美しい庭園を眺めながらゆったりタイム
そして4階展望室では庭園や京都市内を一望できるほか、撮影スペースも用意。ちなみに、館内全体のいたるところに、霞中庵の中にあるしつらえを取り入れています。紅葉の螺鈿に加え、すすきのデザインや、栖鳳がデザインした机と椅子のレプリカなど、京都を感じられる空間になっていますよ。また、春や秋は庭園の草木が色づき華やかに彩られます。そんな光景をゆったりと眺められるなんて、贅沢ですね。
ドルフィーのオーダーやカスタムの相談も
地下1階にある控えの間にはコーディネートモデルのドルフィーがあり、お気に召せばその場でお迎えOK。
さらに!ここでしか見られない「ピュアスキンビスクモデル」(不定期公開)を発見!こちらはビスクドール(陶器でできた人形)のような質感を再現したドルフィーです。どことなくアンティークな雰囲気で、ほかのドルフィーにはない透明感に思わず息をのむほど。
また、ドルフィーのフルチョイスオーダーもこの階で実施。80以上のヘッドにさまざまなスキンカラーやボディ、グラスアイなど悩み始めると終わらなさそうなほどたくさんの組み合わせが可能です。オーダーされる方はあらかじめ公式ブックなどを見て、全て決めてから来る人が多いのだそう。もちろん「決められない!」となってもスタッフさんが丁寧に教えてくれるのでご安心を~♪
そして、天使の里ショップではドルフィーの服や靴などのパーツのほか、京都らしい日本手ぬぐいや京菓子をモチーフにしたちりめん里小箱など、天使の里ならではのオリジナルグッズが販売されています。
未完成のドールから始まるオンリーワンの世界
「ドルフィーはよくできた未完成品」とスーパードルフィー担当の重田さん。お迎えした後も購入したオーナーの手によって、洋服やメイクを変えたりすることで成長し続けていくことがスーパードルフィーの最大の魅力なのだとか。また、ドルフィーはボディや衣装などすべて手作業で作られたお人形。「ドルフィーの成長をオーナー様にいかに楽しんでもらうか」がボークスとしての挑戦どころとのこと。
かつては“インドア”の趣味だったお人形ですが、天使の里やドールイベントを開催することで、ドルフィーと一緒に外へ出て世界を広げるものになっているのだそうです。まだまだ進化をし続けるスーパードルフィーから目が離せません♪
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■■INFORMATION■■
株式会社ボークス
住所 京都市下京区七条御所ノ内中町60
http://www.volks.co.jp/
天使の里 霞中庵
住所 京都市右京区嵯峨天竜寺若宮町12
電話 075-872-3100(電話受付時間)月・火・金・土・日曜11:00~17:00
営業時間 11:00~17:00※週末を含む毎月約15日間営業
http://www.superdollfie.net/tenshinosato/