仏像の宝庫・京都で、一度見たらずっと心から離れない選りすぐり仏像をご紹介します!
本当に1000の手を持ち、昼夜顔が変わる!?平安時代の千手観音
十一面千手千眼観世音菩薩立像(重文)@京田辺市「寿宝寺」
十一面千手千眼観音はすべての人々の苦しみを眼で見て、その手で救おうとする姿を現した仏像。
一般的な千手観音は手が42本のところ、寿宝寺の本尊・千手観音は珍しく手が1000本!!大阪・葛井寺、奈良・唐招提寺の千手観音と並び日本3大名作として有名です。
高さ181㎝、頭上には11の顔を、左右にはそれぞれ500の手を持ち、小さな手が幾重にも重なり扇のように広がる様は見事!1本の木から掘った「一木造」の仏像だということにも驚きます。
また、1000の手にはそれぞれ眼が描かれていたそうで、現在でもわずかながら残っているので見ることができます。
もとは周辺にあった佐牙(さが)神社の神宮寺だった恵日寺(現在は廃寺)で祀られていた千手観音。
明治の廃仏毀釈による合併で150年ほど前、五大明王2体、降三世明王と金剛夜叉明王(いずれも平安時代作)とともに寿宝寺へ移されました。平成9年より寿宝寺の収蔵庫に祀られています。
さらにこちらの千手観音は、先々代の住職の頃から、昼夜で表情が変わる不思議な仏像としても地元で親しまれるようになったそうです。ろうそくの灯りで夜は優しく女性的に見え、
昼は眼がキリッとつり上がり男性的な印象。唇の鮮やかな赤やヒゲが浮かび上がってくる様は一瞬のことながら、たいへん神秘的な光景でした。
拝観時にご住職が照明を切り替えてくださり、昼と夜の両方のお姿を見せてくれますよ。
寿宝寺のある南山城エリアでは、木津川沿いの古寺に十一面観音が点在しており、十一面観音巡礼ができます。国宝も目白押しなので、ぜひ併せて訪ねてみましょう!
寿宝寺 DATA /創建 慶雲元(704)年/宗派 高野山真言宗/山号 開運山
■■Information■■
寿宝寺(じゅほうじ)
0774-65-3422(要予約)
京都府京田辺市三山木塔ノ島20
9:00~17:00
300円
JRまたは近鉄「三山木」駅から徒歩5分
宴会中の仏像?!ウィンク、大爆笑・・・表情豊かな22体の微笑仏
釈迦三尊と十六羅漢@「清源寺」南丹市
清源寺の羅漢堂を覗いてみると、ワイワイガヤガヤと宴会をしているような、実に人間味あふれる釈迦三尊と十六羅漢ら22体の仏像たちのお姿が。
各々に日本酒がお供えされているところも、さすが宴会中!
その姿から「微笑仏」(みしょうぶつ)と呼ばれ、じーっとお顔をみていると、笑顔の向こう側にはすべてのことをわかっておられるようにも思えて、背筋がピンと伸びます。
江戸時代後期の僧・木喰(もくじき)上人が彫った仏像「木喰仏」に魅せられた民芸運動の父・柳 宗悦(やなぎむねよし)の調査によってその価値が認められ、清源寺の木喰仏も全国的に知られるようになります。
上人が北海道から鹿児島まで諸国巡礼の旅に出たのは56歳のこと。神仏を彫ることで民衆を救いたいと願っていました。
60歳で彫り始め、亡くなる93歳までの間、旅先で神仏を彫って全国各地で奉納しています。その数1000体以上に及ぶそうなんです!
清源寺の釈迦三尊をはじめとする十六羅漢、聖観音菩薩、勢至菩薩、住吉大明神の22体の仏像は上人が89-90歳の時に手掛けた晩年の作。
本尊の釈迦如来がちょうど1000体目だったそうで、上人の最高傑作ともいわれています。
そのほか、上人が仁和寺に奉納するために描いたと伝わる釈迦如来図(原本)も必見!後背や衣、台座の図柄がとてもユニークなのでご注目を!!
こちらをモチーフにした手ぬぐいは2000円で販売中です。
清源寺DATA /創建 寛徳2(1045)年/宗派 曹洞宗/山号 金龍山
■■Information■■
清源寺(せいげんじ)
0771-42-3743(要予約)
京都府南丹市八木町諸畑102
4月~11月9:00~16:30、12月~3月9:00~16:00
※1月と8月は行事により対応が困難なため、来山はなるべくご遠慮ください
500円
JR嵯峨野線「八木」駅からタクシーで約10分/京都縦貫道「八木」ICから車で約10分
全長160㎝!ふかふかの布団に入って安らかに眠る、鎌倉時代の涅槃仏
釈迦如来大涅槃像@亀岡市「穴太寺」
西国三十三所観音霊場として第21番の札所として知られている穴太寺(あなおうじ)は、創建1300年以上の歴史を誇る、丹波屈指の古刹です。
また西国三十三所観音霊場巡礼は2019年5月、日本遺産にも認定されたばかり。
ご本尊は薬師如来、札所としてのご本尊は聖観世音菩薩。両方秘仏のため厨子の扉は閉まっているので、御前立の観世音菩薩にお参りしましょう。
その右脇侍にはお待ちかね!
布団の中で安らかに眠っている釈迦如来大涅槃像のお姿が!!釈迦が生涯を閉じた姿を涅槃(ねはん)といい、悟りの境地に入ったことを現しています。
蓮華座が枕、そーっと布団を取ってみると・・・
たくさん撫でられたことから全身ピカピカ!!光沢を放っています。
仏像の、自分の体の悪いところと同じ部分を撫で、自分の体をさすり返すと悪いところが治るといわれていることから、ご利益を求めて訪れる参拝者があとをたちません。
こちらの仏像は明治29(1896)年に本堂の屋根裏から発見されたもの。当時の住職と孫娘の病気平癒を願い、日々参詣していた信者の霊夢によって仏像を探しあて、病が治ったと伝わっています。
そのほか、四季折々の美しい花々を愛でることができる書院の「穴太寺庭園」(京都府指定名勝)も見応えがありますよ。
こちらは江戸時代中期に造営された庭園で、多宝塔を借景に、池を中心とし築山と石組みを配した雅やかな雰囲気が漂います。多宝塔が水面に投影される様もお見逃しなく!
穴太寺DATA /創建 慶雲2(705)年/宗派 天台宗/山号 菩提山
■■Information■■
穴太寺(あなおうじ)
0771-24-0809
京都府亀岡市曽我部町穴太東ノ辻46
8:00~17:00
500円
JR亀岡駅より京阪京都交通バス停「穴太口」から徒歩10分/京都縦貫自動車道「亀岡」ICから5分