京都通ならおさえておきたいシリーズの2回目は、京都府内でも指折りの個性派社寺、八幡市の「らくがき寺」と「飛行神社」をご紹介。石清水八幡宮のすぐそばなので、3か所セットで巡るのがおすすめ。きっとあなたの旅に、インパクトを与えてくれるはず!
“らくがき”しても怒られない寺が京都にあるってホント?
「らくがき寺」のルーツとは?
正式名は、単伝庵(たんでんあん)といいます。今から約260年前の江戸時代、妙心寺の単伝和尚が八幡の南部からこの地に移し再興。
木津川の上流に位置する宇治・平等院への巡拝コースの一つだった八幡の地に、道中の安全を祈願するために、けが除け、厄除けの救苦観音(本尊)を安置しました。
その後、昭和30年代に入って、長らく住職不在により衰退していた単伝庵を復興させるために先代の住職が大阪・京都へ托鉢に回って資金を集め、大黒堂を立て替えます。
協力してくれた人々の願いが大黒さまに届くようにと願いを込めて、白壁に願い事を書いてもらうようになったことから、「らくがき寺」と呼ばれるようになりました。
ルールを守って「らくがき祈願」@大黒堂
走っているように見える大黒さま、「走り大黒天」が大黒堂の本尊。走るということは人を追いこすこととして、商売繁盛の福神として古くから信仰を集めてきました。
こちらの大黒天は、南北朝時代に石清水八幡宮の改築時、武運長久を願って楠木正成が寄進したクスノキの残り株で刻まれたと伝わります。開運、福徳円満のパワースポット!
白い壁一面に、ぎっしりと願い事(らくがき)が書かれています。いっぱいになったらどうするんだろ?と思いますよね? 毎年、年末に白い壁に塗り直しているそうです。
大黒堂でのおまいりの手順&注意事項が書かれています。スペースに限りがあるので、備え付けの木枠を使って願い事を1つ書きましょう。大黒さまが見やすいように丁寧に書けば願いがしっかりと届くはず!
「自分の願い事が叶うということは、いろいろな人の後押しがあってこそ。こちらで、ただ“らくがき”をするだけでなく、自分も人が願いを叶えるためのサポートをしなあかんな、と少しでも思ってもらえたら」とご住職。
本当にその通り、ご住職の言葉に心洗われました。
授与品を一部ご紹介。小判型の走り大黒天のお守3000円や、山門すぐ左手、本堂内入口の寺務所で授与してもらえる御朱印は300円。
縁結びのパワースポット!比翼(ひよく)地蔵
山門入ってすぐ右手。約400年前に刻まれた男女一対のお地蔵さまは、縁結びのご利益があるそう。
手前の小さなお地蔵さまを奉納すると、とくに結婚良縁が与えられるとも言われています。
■■Information■■
単伝庵(らくがき寺)
075-981-2307
京都府八幡市八幡吉野垣内33
通常参拝は、土曜・日曜・祝日のみ
9:00~15:00 ※それ以外は電話で要予約
拝観料100円、大黒堂で願い事祈願(らくがき)は祈願料として300円
京阪電車「八幡市」駅から徒歩10分
P15台
日本で最初に「動力飛行機」を飛ばした人物は飛行神社の初代宮司だった!?
飛行神社で航空安全と航空事業の安全祈願を!
飛行神社は大正4年に日本で最初に「動力飛行機」を飛ばした二宮忠八(にのみやちゅうはち)氏が、飛行機事故で亡くなった人々の御霊を慰めるために私財を投じて創建した神社です。
こちらには全国から航空安全と航空事業の安全祈願に、企業や一般の参拝者が多数訪れます。境内には奉納された飛行機のプロペラやエンジンも安置されています。
飛行神社が八幡市にある理由とは?
二宮氏自身の生まれ故郷が愛媛県八幡浜市だったことから、名前の似た「八幡」に自宅を構えました。また、近くに飛行機の滑走路にぴったりの木津川河川敷があったことも八幡を選んだ理由なんだとか。
京阪電車・八幡市駅前の八幡市観光協会でレンタサイクルをしてみるのもおすすめ。木津川沿いを一直線に走る「嵐山・淀川・木津川サイクリングロード」を自転車で駆け抜け、二宮氏に想いを馳せてみてはいかがでしょうか。
二宮忠八氏の飛行機にかけるロマンを辿る@二宮忠八資料館
難しい数学や物理を勉強して飛行機を飛ばそうと思ったのではなく、凧やカラスや玉虫などの動物や虫から飛行機の着想を得るという、身近なところから夢は大きく広がりました。
併設されている「二宮忠八資料館」では、研究熱心だった様子がうかがえる自筆のスケッチや写真に加えて芸術作品など二宮氏に関する資料を主に展示し、その生涯を辿ることができます。
二宮氏のチャレンジすることを諦めない日本人の粘り強さ、一方で切り替えの早さも見習いたいところ。刺激をたくさんいただきました!
そのほか、全国各地から奉納された航空関係の資料、図書、模型など多数展示されています。一部ですがご紹介します~。
京都に飛行場があった!!パイロットの免許証
隣町の久御山町には太平洋戦争の前、「京都飛行場」があり、「京都航空機乗員養成所」という民間のパイロット養成学校があったんだとか。写真は当時の飛行機免許。
飛行機マニアが奉納した1000機以上のプラモデルは圧巻
大正11年生まれ、城陽市出身の故・上田伸也さんが86歳の時に1000機以上ものプラモデルを奉納。
キットで販売していない飛行機については、資料を見つつ自作したオリジナル作品も数多くあるんだとか。中には、実際2機しか製造していなかった飛行機の模型まで!!激レア飛行機を拝みに全国からファンが訪れます。
世界は空で繋がる!拝殿は珍しい洋風建築、ステンドグラスも
「海や陸地には限りはあるけど、空は世界に一つ同じ空がある」との想いから、世界各国からの参拝者を迎えるために拝殿は白い柱の洋風建築に。平成元年に立て替えられました。
また二宮氏はトビウオや玉虫の羽の動きを参考に、人の乗れる「玉虫型飛行器」を考案しました。そのためステンドグラスのモチーフがトビウオと玉虫なんです。
あの「鳥人間コンテスト」の出場者も祈願するパワスポの授与品
航空安全、旅行安全、交通安全、合格祈願のパワースポット!として大人気。参拝者のさまざまな声に応えた豊富な種類の授与品は必見です!絵馬は2種類、所願成就、合格絵馬は各600円。
「飛」という文字がインパクト大!飛守(とびまもり)全3色、1体800円。飛行、飛翔の安全と球技などのスポーツの成功に。
明治24年に飛行成功した、ゴム動力を使った「カラス型飛行器」をあしらったお守り。航空安全守、全5色より桃色と水色。1体800円。
そのほか戦闘機やロケットの印が入った御朱印も人気。1枚300円。
■■Information■■
飛行神社
075-982-2329
京都市八幡市八幡土井44
9:00~16:30(資料館は16:00まで)
資料館は入館料金300円
京阪電車「八幡市」駅から徒歩5分
P3台