福知山城を築いた明智光秀が、2020年放送NHK大河ドラマ「麒麟がくる」の主人公ということで、盛り上がりをみせている福知山。
明智光秀の知られざる魅力と、福知山との繋がりを全国に発信すべく、「知られざる明智光秀プロジェクト」の第3弾として企画された「明智光秀が築いた福知山城 一日城主体験」の応募記事は、以前KYOTO SIDEでも紹介しましたが、今回は、去る9月17日に実施された一日城主体験の様子を密着レポート!若き城主たちの姿をとくとご覧あれ〜!!
選ばれし城主はオーストラリアの中高生12人!
29件の応募のなかから決定!
戦国武将・明智光秀が築いた福知山城を丸一日開城し活用してもらうために、賃貸物件の広告をパロったユニークな公募記事を作成し、話題を呼んだ「福知山城一日城主体験」企画。29件の応募があったそうですが、厳正な審査の結果、福知山にホームステイしているオーストラリア人中高生12人に決定しました!
選考の決め手は「いがいと!福知山」
「いがいと!福知山」という福知山のブランドメッセージらしい「意外な」一日城主ということで、唯一応募があった外国の方を選出したんだそうです。外国の、しかも中高生が一日城主だなんて、前代未聞ですよね〜!?
大橋一夫 福知山市長は「母国オーストラリアで日本語を学んでいる、日本文化への関心が高い皆さんの“サムライになりたい”“本物の日本文化を体験したい”という夢をぜひ叶えていただきたいと思い、選出しました。福知山城と福知山市の新たな魅力を見いだし、オーストラリアで発信していただけることを期待しています」と選出理由を語ります。
明智光秀と思しき武将の声が響くおもしろ自動販売機はじめ、これまでもユニークな企画や試みをしている福知山ならでは!と言えますね。
ほかの応募の中にも、福知山に縁のある涙無くして語れないエピソードが書かれたものもあったとか。また新たな「一日城主」の誕生にも期待したいですね!
一日城主体験はじまり、はじまり〜!
市長より一日城主任命
大橋市長はじめ、スタッフ、見物客、報道関係者が大勢待ち構えるなか、明智光秀と妻、家臣たちといったところでしょうか?甲冑や着物を纏った一日城主たちが本丸広場に登場。大きな拍手と共に迎えられます。
テレビや新聞、ラジオなど多くのメディアに戸惑う城主たちの表情が、なんとも恥ずかしそうで可愛かったです♪ 甲冑=日本人というイメージですが、それなりに様になっているのが不思議。モデルさんのようにスタイルがいいからですかね???
「日本や福知山の文化に触れて、国を超えた絆を築いてください。皆さまが今日城主になることで、この福知山城はますます地域に、そして世界に開かれた城になることを確信しています」と市長が挨拶。
ひとりひとりに任命状授与
続いて、市長がひとりずつ名前を読み上げ、一日城主任命状を授与。
オーストラリア南東部・ビクトリア州の港湾都市ジーロングにある中高一貫の公立高校に通う12名が、日本文化の研修で10日間の日本滞在中のうち3日間を福知山でホームステイ。そのうちの一日を城主として様々な体験をすることになった彼ら。
一日城主はこちらの12名!
14歳から16歳の中高生年代の12名。日本語に関しては、年齢差や個人差はあるものの、ひらがな、カタカナ、漢字も少し書けるんだとか。日本文化に興味を持ったきっかけとしては、やはり漫画やアニメの影響が大きいようで、なかでも「『ワンピース』『進撃の巨人』が好き」だという明智光秀役のエイデン・プリンズ(15歳)くん。
任命状をもらって喜ぶチャーリー・フィリップスくん(15歳)。
任命状をもらった一日城主12名を代表して、明智光秀に扮した長身のエイデンくんと、打掛け姿で妻の熙子を装ったクレア・アダムさん(16歳)が挨拶。「このような貴重な機会をいただいたことに感謝しています。福知山城主として、すべての人々の平和に貢献できるよう努めます」と日本語と英語で述べました。
「皆の者、参るぞー!」の掛け声で任命式終了
エイデンくんによる「ミナノモノ、マイルゾ〜!」という掛け声と共に一堂拳を振り上げ、任命式終了。当時の光秀を彷彿とさせるかどうかはわかりませんが、エイデンくんの力強い掛け声、バッチリ決まってました。さぞかし練習したことでしょう。
地元・大江中学校のみんなも一緒に記念撮影
一日城主12名と引率の先生、そして市長で記念撮影をした後は、この日一緒に様々な体験をする福知山市大江中学校の生徒たちも合流し写真をパチリ。
福知山城について英語でレクチャー
まずはお城の外側から
福知山城主ということで、まずはお城のことについて知ってもらおうと、城の歴史や、石垣の積み方などについて福知山公立大学の学生から英語で説明されます。「四角い石とそうでない石があって…」などといった解説を真剣な表情で聞く城主たち。
映えスポットでフォトセッション!
城内見学の前に、城主と大江中学校の生徒たちでグループに分かれ、お城の周りの映えスポットを見つけ出し、みんなでパシャパシャ写真の撮りあいタイム! 英語での会話にチャレンジしたり、子どもたちの交流が見られます。
身長が2m近いエイデンくんを真ん中に、スリーショットをおさめる大江中学校の子どもたち。福知山の街並みをバックに額縁のように切り取ることができるフォトジェニックスポット。
ところで甲冑を着けた感想は?
フォトセッションには「丹波福知山手づくり甲冑隊」の皆さんも参加。なんと、この日一日城主たちと甲冑隊さんたちが身に着けている甲冑全て、この甲冑隊さんたちが手づくりしたものなのだとか!? プラスチックや紙を使って作られたものだそうで、本物の甲冑より遥かに軽いようですが、それでも初めて甲冑を身に着けた城主たちには重いよう。とはいえ「なんだか強くなれた気がする」と戦国武将気分を楽しんでいる様子。打掛けを着ていたクレアさんも「暑い」と言いながらも、すぐさま「デモ、ダイジョウブ!」と日本語でにっこり。若いながらも城主に選ばれた使命、気概、しかと感じました!
お城なのにLINE Payで支払い&入館できるんですって!
さて、いよいよ城内見学!と、ここで衝撃の光景。なんと!お城にLINE Payで入館できちゃうんです。いや〜進んでますねぇ福知山城。さすが!「いがいと!福知山」。
まるで戦国時代!? 甲冑姿で城内見学
福知山城は1579年頃に明智光秀により築城されましたが、明治初期に廃城。市民による「瓦一枚運動」などにより昭和61年、3層4階の展望型の大天守が再建され現在に至っています。館内には、明智氏などに関連する資料が展示されています。当時を再現したかのようなリアルな人形を甲冑姿で彼らが眺める様子は、国境だけでなく時空を超えた感満載でした。
福知山城は唯一◯◯なお城なんです!
福知山城は京都府で唯一登れる天守閣があるお城ということもあり、城内を見学しながら天守閣展望階へ。光秀もここから福知山の街を眺めていたのかもしれませんねぇ…と思いを馳せていると…光秀に扮しているということもあり、報道陣にいろんなポーズをさせられるエイデンくん。しかし、そこはイケメン、臆することなく対応していました。
サムライごっこに城主たちもスマイル♪
由良川、明智藪など、天守閣展望階から眺められる光秀にまつわる場所など、明智光秀について英語で説明。サムライの殺陣のような寸劇を交えた解説には、城主たちもウケていました。
「THE 日本文化」を体験
浴衣に着替えて茶道体験
城内見学した後は、浴衣に着替え茶道を体験。お城の中に、福知山の街が見渡せる眺めのいいお茶室があるなんて素敵ですね!
まずは先生のお手本を見て、席の付き方、座り方を学びます。「敷居や畳のヘリを踏まないように,,,」といった説明を聞き、おぼつかない足取りで席に付く城主たち。
正座に慣れない彼ら。座ってすぐにモゾモゾし始める姿に思わず笑みがこぼれます…(笑)。
まずは甘〜いお菓子をいただきます
14時に任命式がスタートし、15時もまわった頃ということもあり小腹も空いていることでしょう。城主と大江中学校の生徒たち皆、お茶菓子をぺろりと平らげます。
「福知 三万二千石」と焼印が押された特製菓子。
続いてお抹茶、果たしてその感想は?
器をまわしたりお作法を気にはしているものの、案外お抹茶自体には警戒することなく口をつける城主たち。引率のアンナ先生は日本滞在経験もあるそうで、お抹茶も大好きだとか。半数の城主は美味しく飲み干し、半数は苦いとギブアップ(笑)。そして、正座で足の痺れはピークに。実際このあと、階段を上りながら足を引きずる姿も。
一方、大江中学校の生徒たちはというと…こちらもお抹茶初体験とのことで、むしろ大江中の生徒たちの方が訝しげな様子。
一口飲むや否や「にがっ!」と言わんばかりの表情にお友達が爆笑。
お箏の音色にうっとり〜♪
茶道体験をしたグループはこのあとお箏(こと)の演奏を鑑賞。先にお箏を鑑賞したグループは茶道体験という形で入れ替わっての体験。
はじめにお箏の弦などについて説明があり、演奏が始まります。「さくら」などの日本らしい曲から、子どもたちに人気のディズニーミュージックなどが奏でられました。
演奏後は大きな拍手と共に、お礼として城主たちからコアラのマスコットがプレゼントされ、演奏された先生方も思いがけない贈り物に「わ〜可愛い!嬉しい〜!」と感激の様子でした。オーストラリア国旗があしらわれたTシャツを着たコアラ。国際交流ってイイものですよね〜と改めて実感。
本丸広場でドッコイセ〜!ドッコイセ!
福知山名物・ドッコイセ踊りを体験
休む間も無く城主体験は続きます。続いては、再び本丸広場に飛び出し、福知山名物・ドッコイセ踊り(福知山踊り)を体験。福知山踊振興会のお姉さま方に手ほどきを受けます。
思いっきり西陽を浴びながら、お姉さまがたの振りを真似る城主と大江中の生徒たち。地元・大江中の子どもたちもほとんどがドッコイセ踊り初体験だとか。
実践あるのみ!と、練習もほどほどに、いきなり音を流して本番スタート!城主、大江中の生徒たち、福知山踊振興会のお姉さまたち、ホストファミリーの皆さん、集まった市民の方々と、みんなで輪を作り、ドッコイセ踊りを楽しみます。
「ゆっくり〜ゆっくりでいいよ〜!」とみんなに声をかけながら、自ら満面の笑みで踊る福知山踊振興会の会長。
以前、福知山のスカイランタン記事の取材の際に、「ドッコイセ」の由来を聞きました。福知山城築城にあたり、過酷な労働を強いられるなか、福知山の人たちは「ドッコイセ〜ドッコイセ〜(どっこいしょ)」と掛け声を掛け、楽しみながら苦境を乗り越えたと。今なお福知山に受け継がれる、その「ドッコイセ〜」を世代と国境を越えて体験している姿に胸が熱くなりました。
ドッコイセ踊り体験を終え、大江中の生徒たちとはお別れ。城主たちも手を振って見送ります。イケメン、エイデンくんはここでも人気のようで、別れ際エイデンくんとハイタッチをした大江中の女の子らは「この手は洗わない!」と言っていたとかいないとか(笑)。
ちなみにエイデンくんは、キリッと凛々しい表情で踊っていました。
踊り疲れて喉が渇いたようで、「明智光秀自販機」に手を出す城主の姿がチラホラ。お金を入れると「時は今、明智光秀ここに見参!」「敵は本能寺にあり!」「のぶながぁ!」などとシチュエーションによって色んなセリフが飛ぶ仕掛けがしてあるわけですが、城主たちは「なんだこれ?」といった表情。
しばし休憩…と言いつつ、テレビの生中継に出演するということで、城主たちはリハーサル&本番! 日本で関西のローカル番組に城主として生出演するなんて、とっても貴重な体験でしょうね〜。もうこの頃には取材慣れしている彼ら。「日本食が好き!」「寿司!焼肉!」という元気な声が聞こえてきました(笑)。
日も暮れてきてお腹も空いてきた頃でしょう。この後はお城を一旦離れ、福知山駅前にあるお料理教室でお料理体験!
日本の伝統料理作りに挑戦!
ヒロコ先生&トレイシーのおしゃべりクッキング
福知山駅から歩いてすぐの場所にある「ヒロコクッキング」にお邪魔してお料理体験。ヒロコ先生とトレイシー、そしてスクールの生徒さんたちが教えてくれます。
日本の食卓に欠かせない、おにぎり&お味噌汁の作り方をレクチャー。「お味噌汁食べたことのある人〜?」との問いに、ほとんどが挙手。
できるだけ簡単にできるようにと、おにぎりはラップを使って作ります。まずはヒロコ先生によるお手本。ラップでくるくる回し、具材を入れて三角に形付け、海苔を巻いて出来上がり〜!
見ていると簡単そうなんですけどねー。
さぁ、みんなの腕前はどうでしょう? Let’s get cooking!!!
おにぎりを作っているとは思えない真剣な表情のカラム・チッパフィルドくん(15歳)。
思うように綺麗な三角形にならないと苦戦している様子のメイソン・ブライくん(15歳)。
恥ずかしそうにしながらも「上手にできた〜!」とタムサン・フィツジェラルドさん(14歳)の可愛い笑顔いただきました!
お味噌汁はあらかじめ具材が入れてある状態。そこにローガン・ラベルくん(15歳)がお味噌をといて出来上がり!
作ったおにぎりとお味噌汁はお城に戻って、本丸広場でホストファミリーたちが持ち寄った日本食と一緒にみんなでいただきます♪ お米は、福知山市大江町の新米だそうですよ。自分で作った新米おにぎりは格別でしょうね!?
本丸広場で夕食&この日の写真をスクリーンで鑑賞した後は、天守閣展望階へ上がり福知山の美しい夜景を眺め、一日城主体験は終了となりました。様々な日本文化、福知山の文化に触れ、福知山の人たちと触れ合った一日城主体験。さらに日本に興味を持ち、「また日本に来たい、福知山に来たい、福知山の魅力を広めたい」そう思ってくれる絶好の機会となったことでしょう。城主体験された皆さん、福知山の皆さん、楽しい企画をありがとうございました♪
【本企画への問合せ】
福知山市役所秘書広報課シティプロモーション係
TEL:0773-24-7090
メール:hisyo@city.fukuchiyama.lg.jp
中野里美
スイーツや美味しいお店が何気にいっぱいあって、KYOTO SIDEでの取材を機に、福知山のファンになった私ですが、今回の一日城主体験で、きっと彼らも福知山ファンになったことでしょう!コーディネーターの安藤恵子さんの尽力により、福知山では海外からの生徒さんたちのホームステイも珍しくないとか。外大出身者として、国際交流の魅力を改めて感じさせてもらいました。