世の中には“奇祭”と呼ばれる、その土地独特の風習を持つ風変わりなお祭りがあります。今回は“関西の奇祭”として京都府福知山市に伝わる「額田のダシ行事」(2019年10月12・13日開催)をご紹介します。
写真をご覧ください。高速回転しているのは「山車(ダシ)」です。山車が回転しながら巡行するという、一風変わったこのお祭りにはどのような意味が込められているのでしょう? あわせて、お祭りの見どころもお伝えします!
「額田のダシ行事」ってどんなお祭り?
必見の回転する山車と“つくりもん”
「額田のダシ行事」(京都府登録無形民俗文化財)は江戸時代後期から福知山市夜久野町の額田地区に伝わる秋の豊作を感謝するお祭りです。毎年10月に行われていますが、今年は10月12日(土)・13日(日)に、JR下夜久野駅周辺で開催されます。
祭りには3つの大きな特徴があります。まずは、西日本で唯一と云われる2階部分が回転する山車、次に、豊かな野山の幸を材料に物語の世界を表現する“つくりもん”(下ダシ)、 そして3.6 メートルもの御神木の走行巡行です。
何よりも目を引くのは、やはりこちらですね。回転しながら巡行する山車。
山車は上下二段の構造となっており、上段はぐるぐる回転するようになっています。上段に作り物の人形を飾り、下段には囃子方が乗り込んで巡行し、ところどころで上段を勢いよく回します。額田地区ではこの上ダシが2基、巡行します。夜になると電飾のついた花笠提灯が光りながら巡行するので、回転時は写真のような不思議な光景が広がります。回転する山車は全国的にも珍しく、西日本では唯一と云われています。これはぜひ、本物を見てみたいですね。
もう一つの見どころは、その時期に収穫される野菜や草木のみで、昔話や伝説の一場面を表現する「つくりもん(下ダシ)」です。毎年、各自治会ごとと、地元の小学校や幼稚園の子供達の手により、7基のつくりもんが設置されます。その表現力や迫力を目当てに、多くの見物客が押し寄せるそうですよ。
今年は、 明智光秀や大河ドラマ「麒麟がくる」にちなんだ「つくりもん」 が披露される予定だそうで、どんなつくりもんが見られるか、とても楽しみですね。
そしてこちらが祭りの本質、「御神木の走行巡行」です。長さ3.6メートルほどのヒノキの柱を青年たちが奉持し、山車の巡行が終わる昼過ぎから夜遅くまで各地区を縦横無尽に巡行します。真夜中に帰社し、ご神木を本殿に勢いよく突っ込みます。巡行が行われると、山車やつくりもんでにぎやかな昼間までとは打って変わり、静かな祭りへと変わります。地元の方曰く「動の祭りから静の祭りに変わる」のだそうです。
ご神木の巡行ルートは決まっているそうですが、ご神木がどこで休むかは「神意のまま」とされ、各家庭ではそれに備えて、御神燈を灯し、屏風と生花でお座敷に飾りつけをして待機することがならわしになっているそうです。この座敷飾り、地区の全てのご家庭というのが凄いですね。この風習は近隣には見られない特徴で、現代に残る貴重な文化なのだそうですよ。
日本の祭りの原風景が残る「額田のダシ行事」――。
地域の人々が総参加し、100年以上前から地元に伝わる祭りを守り続ける額田地域の皆さんの取り組みに、今後も要注目です。
■■INFORMATION■■
額田のダシ行事
問い合わせ:090−4640−6194(「額田のダシ」振興会事務局 大本)
場所: 京都府福知山市夜久野町額田地区(JR 下夜久野駅周辺)
【行事スケジュール】
宵宮 令和元年10月12日(土)/本宮13日(日)
つくりもん(下ダシ)の公開:12 日(土)12:00〜22:00、13日(日)8:00〜21:00
上ダシ・太鼓屋台の巡行:12日(土)18:00〜23:00 ※屋台の電飾が点灯、13日(日)8:00〜12:00
クライマックス(踊り・曳き揃え):13日(日)9:50頃〜
御神木の巡行:13日(日)13:30〜22:00頃