最近、水引(みずひき)を使ったアクセサリー雑貨などのハンドクラフトが注目を集めていることを知ってますか?昨年(2019年)約3万8000人が来場した日本最大級の文具の祭典「文具女子博」でも、「京都水引」ブースは大盛況で即日完売!
今回は創業62年、京都府久世郡久御山町で「京都水引」を製造する「株式会社さん・おいけ」に、歴史から作り方、さらには購入できるキットのご紹介まで、水引についていろいろお伺いしてきました。
水引は日本人のコミュニケーションツール
水引は人の心と心を結ぶ、日本独自の奥ゆかしいコミュニケーションツール。祝儀袋などに用いられる飾り紐は美しいだけでなく、紐の色、結び方、本数に深い意味が込められているんですよ。
水引は1400年前、中国からやってきた!水引の歴史
水引が日本に伝わったのは約1400年前のことと言われています。推古天皇が派遣した遣隋使・小野妹子が帰国する際、隋の返礼使が贈り物を携えて同行しました。
その返礼品には、海路の平穏無事祈願、真心が込められていること、未開封であることの証として、赤と白に染め分けた麻紐で結ばれていました。それをそのまま天皇に献上したところ、大変喜ばれたというエピソードから、以後、朝廷への献上品に紅白の麻紐を結ぶのが慣例化したそうです。
平安時代になると紙を紙縒り(こより)にした元結(髪を束ねる細い紐)が誕生し、水引の素材は麻から紙へと変わりました。一説には水引の名の起こりは、和紙で作った紙縒りに水糊を引いたことから「水引」と呼ばれるようになったとも。
その後、江戸時代には室町時代からの進物マナーをまとめた『包結記』が発行され、一般庶民の間に広まりました。ちなみに明治・大正時代まで祝儀包みは基本的に手作りだったそう!
現在では紙縒りに直接着色したり、フィルムや飾り糸を巻いたりと、さまざまな素材や長さ、太さのバリエーションの水引がつくられるようになりました。
工芸品を手掛ける水引職人だけでなく、アクセサリーや雑貨類などを手掛ける作家さんも活躍しています。
オトナ女子なら知っておくべき!水引本来の意味やマナーとは?
結びの最もスタンダードは「淡路結び」、慶弔いずれにもOK
最もスタンダードな基本の結び方。結婚や弔事には人生に一度きりであってほしいという願いを込めて結び目がほどけない「結び切り」を。出産、入学、お宮参り、七五三など何度あっても良いお祝い事のときは「花結び」を使います。 ちなみに「淡路結び」は一般的にどちらの場合でも仕えるので覚えておくといいですね。
一般的に、慶事には割り切れない数という意味で、水引は奇数の本数に。5本に束ねたものを基本とし、数が多くなる事に格式高いものになります。ただし、9は苦しいを連想させる数字のため、慶弔いずれも使いません。
こちらは弔事用袋。水引の組み合わせによって使い方が異なります。全国のどの地域でも仕える香典袋は水引が黒白タイプ。京都を中心に関西では黄白を使う地域も、また銀色のみの水引は香典が高額の場合に使います。
★淡路結び作り方動画
カジュアルなお祝い事にも!平梅(ひらうめ)
5つの輪が梅の花のように見えることが名の由来。淡路結びがベースになっているそう。固く結ばれているのでほどけないことから、お祝い事全般に活躍します!
★平梅の作り方動画
作り手を応援!水引アートを支える水引製造の老舗企業さん・おいけ
久御山町で水引を製造する「株式会社さん・おいけ」が、一般の方々に水引の魅力を知っていただきたい!という思いから、インターネットで一部商品を販売中です。
なかでも初心者におすすめは「京都水引Petit」(税込550円)。このキットさえあれば、誰でも簡単に水引アートにチャレンジできます。
淡路結び、平梅、椿、横連続淡路結びの4種類が作れるリーフレットとyoutube動画を見ながら、チャレンジできます。また、パーツは何を選べばよいかわからない方でも安心!ワイヤーやブローチピンなどもセットになっています。
水引の最新事情!水引のラグビーボールも
尾池さんが手に持つのは、水引細工のラグビーボール。昨年(2019年)のラグビーワールドカップファンフェスタで展示したもの。お祝いしたい気持ちをイベントにふさわしい形で作り上げることで、より一層気持ちのこもったものになりますね。
こちらのラグビーボールはなんと、水引の基本結び「淡路結び」の連続でできているとのこと!
手掛けられたのは日本でも珍しい水引伝統工芸士・大西学さん。この道40年の大ベテランです。水引の魅力についてコメントをいただきました。
「水引は結ぶ・編む・組むを基本に、平面パーツを作ってそれを組み合わせると立体作品になり、ありとあらゆる形の造形物を作ることができるのがおもしろいですね」
みんなで作ろう水引の和
文具女子博から出店のオファーがくるほど、今、水引に注目が高まっていることについて、「趣味で作る方や作家さんも増えてきているのはとても喜ばしいこと。職人も刺激を受けています。今後は、どんどん新しい結び方をご提案して作り手のバックアップをしていきたいと思います」と大西さんは語ります。
もともとは手作りで行われていた水引製造。世界で初めて水引の機械化に成功したのが、創業者の尾池鋼之輔さんです。創業以来の研究開発への情熱から日々進化する独自の技術によって生み出されたオリジナル水引は、いまや300種類以上!「京都水引」という自社ブランドを立ち上げて、日本の伝統工芸や京都をPRしています。
水引をアクセサリーや雑貨などに加工することで、生活のあらゆるシーンで気軽に日本の伝統文化を取り入れることができますね。
皆さんもこの機会に水引アートはじめてみませんか。オリジナリティあふれる作品がどんどん生み出されるのを楽しみにしています!
■■INFORMATION■■
株式会社さん・おいけ
問合せ:0774-45-2971
オンラインストア
文具女子博2020
2020年11月27日(金)~29日(日)に出店予定!