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世界遺産・平等院の鳳凰堂を徹底解剖!国宝密度が日本一

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10円玉でお馴染みの平等院鳳凰堂は日本を代表する観光地として有名です。編集部スタッフSは公私ともに何度も平等院を訪れていますが、さすが!世界遺産。何度訪れても新しい発見があります。平等院のことを知り尽くした学芸員さんに見どころを教えてもらいました!!

この世の終わり!末法がゆえに誕生した完璧なる極楽浄土の世界

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撮影するなら順光になる午前中がおすすめ。
午後からは逆光になるのでシルエットや夕日バックの写真が撮れますよ

もともと宇治の地は、平安貴族の別荘が営まれていたリゾート地。現在の平等院の地は、藤原頼通の父・道長の別荘「宇治殿」があった場所でした。

平安時代後期、日本では天皇、貴族をはじめ民衆に至るまで仏教に帰依していました。末法(仏教の教えが正しく伝わらなくなる時代)が永承7年(1052)に到来。疫病や自然災害が起こり、死に対する不安が広がったことで極楽浄土への憧れが生まれます。その際、頼通が別荘をお寺に改め、平等院を創建。それが、平等院の始まりです!

学芸員さん直伝!鳳凰堂みどころ紹介

翌年天喜元年(1053)に、関白・藤原頼通が平等院の阿弥陀堂を建立。中堂、翼廊(両サイドの2つ)、尾廊からなる建物で、鳳凰が羽を広げたように見えることから江戸時代より「鳳凰堂」と呼ばれるようになりました。

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屋根周りの装飾も蓮華や宝相華で華やか

阿弥陀堂は末法の世の中に頼通自身が極楽浄土へ行くために建てたもの。今のように西洋医学がなかった時代、死への不安は現在の私たちには計り知れないものだったことが想像できますね。ここへ来ると頼通がいかに仏教に救いを求めていたのかがわかります!

ビジュアル重視!極楽浄土の世界観を徹底追求

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2014年、平成の大改修で創建時の姿に近づいた。丹土塗りの柱と金色の鳳凰が煌びやか

鳳凰堂は、経典の中に出てくる極楽の宝池に浮かぶ阿弥陀如来の宮殿や庭園をモチーフに造られています。建築美を追求するあまり、まったく実用的なものではないことが見るとよくわかります。

例えば、中堂と翼廊が繋がっておらず行き来する手段がない。全体的に柱が高く軽やかな印象だが構造的に不安定とのこと。確かに。

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中堂の阿弥陀如来がお顔を出す中央扉の上のベランダは飾りなので出る手段がない…など。ツッコミどころ満載です。(笑)

1000年前の平安時代の屋根瓦も!保存修復は計画的に

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このように超ビジュアル重視のため、構造的な負担が大変大きく、定期的な修理が欠かせません。創建以来、脈々と修理を繰り返し、藤原摂関家の遺構を偲べる唯一の建物は、日本の宝物として受け継がれてきました。

現在は科学を駆使した調査をし、保存修復作業が計画的に行われています。工期をなるべく縮小し、周辺の観光地としての活気が失われないように配慮もされています。

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南側は全体的に色が薄い瓦屋根に。文化財は、もともと使われていた古材をできる限り
再活用して保存修理をするため、平安時代の屋根瓦も使われている

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屋根は魔が入ってきやすいとされる角が多いデザインのため、
あらゆる場所に魔除けの鬼瓦が。通常は15くらいのところ鳳凰堂は50以上!

なぜ10円玉に?鳳凰堂って後にも建物があるってご存知??

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10円玉のイメージで、正面からの姿しかご存知でない方がほとんどでは?ぜひ後ろからもご覧ください。尾廊がありました~!

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鳳凰堂のまわりは、ぐるりと回遊できる庭園になっています。

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10円玉に描かれている鳳凰堂、実は今の鳳凰堂とどこか違います。それはどこでしょう?

中堂の基礎部分、10円玉の鳳凰堂は石垣のようにブツブツですが、実物はツルっとしています。10円玉の鳳凰堂は改修前の明治の鳳凰堂の姿なんです。超細かいですがここはぜひ現地で見比べて!

遡ること昭和26年、当時の最高額硬貨が10円玉、当時から日本を代表する文化財であった鳳凰堂が刻印されました。前年に文化財保護法が制定され、国をあげて文化財を保護しようというアピールもあったのではないでしょうか。

国宝密度が日本一濃い!阿弥陀堂(鳳凰堂)内部

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

堂内にはご本尊の阿弥陀如来坐像が鎮座しています。こちらは平安時代、宮廷や藤原摂関家御用達の平安時代最高峰の仏師・定朝(じょうちょう)が手掛けた仏像として現存する唯一の作品。国宝に指定されています。鳳凰堂内の国宝だけでも、その数なんと74点!

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】鳳凰堂の扉が開き、本尊が顔を見せる

ご本尊の頭上を覆う煌びやかな天蓋(てんがい)は、金やガラス玉、鏡、螺鈿(らでん)などで装飾されています。阿弥陀如来は光の仏様。

東を向いて立つ鳳凰堂前の阿字池(あじいけ)に太陽がバウンドして光が阿弥陀堂内を照らすことで、キラキラ空間を演出しているそう。

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さらに本尊の頭上には雲中供養菩薩像52体。屋根の上の鳳凰(2代目)が。同じく高い位置にあると、よく見えません。

平等院のミュージアム「鳳翔館(ほうしょうかん)」では、間近でみると面白いものや美術的に素晴らしいものを、間近で細部まで参拝者にしっかりと鑑賞してほしい!という思いから、一部の雲中供養菩薩像や初代鳳凰などを展示しています。

“もうひとつの平等院”が地下に!ミュージアム「鳳翔館」

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

平等院の極楽浄土の景観を損なわないよう、大半が地下に建てられたミュージアム「鳳翔館」は旧宝物館の老朽化に伴って、所有する国宝などの文化財を収蔵しながら展示できるミュージアムとして2001年に開館。常設展のほか、年に4回企画展も行われます。

今回のお目当ては、常設展の初代鳳凰、雲中供養菩薩像、初代梵鐘。いずれも国宝。大気汚染の影響から守るため、初代の鳳凰や梵鐘はミュージアムで大切に保存されています。

日本三名鐘のひとつ、姿の美しさでは日本一「梵鐘」(国宝)

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

高さ2メートル。姿の平等院と言われるほど、その美しさは有名。平安時代に鋳造されたものです。獅子、唐草、宝相華、天女、龍が描かれており、隅々まで文様があるのが特徴です。

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鳳凰堂の南側に見える鐘楼。現在は2代目の梵鐘が。毎年除夜の鐘のみ一般の方が鐘をつけるチャンスも。例年は約1000人が訪れます。※無料で絵馬の授与も

現在の1万円にも描かれている「鳳凰」(国宝)

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

初代鳳凰は平安時代作。仏師・定朝が原型を木彫りで作ったとも言われています。間近でみると、鋭い目つきや魚の鱗みたいな模様、首の後ろに宝珠が付いているのがわかります。

平等院のアイドル!押しメンは誰?雲中供養菩薩像(国宝)

ファンも多い雲の上に乗った仏様。26体の雲中供養菩薩像を間近で鑑賞。壁に掛けるタイプの仏像なので、横から見ると実はとっても薄い!そして下から見上げるように作られていることもよくわかります。

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

楽器を演奏したり(写真右下)、舞を踊ってリズムをとっていたり(写真左)、持物をもっていたり(写真右上)…と様子はさまざま。さらにはスピード感のある雲や急降下をしているようにも見えるものなど、ずっと見ていても飽きません。

雲中供養菩薩は仏師定朝の指導の下、100人以上いたとされる工房の職人達が作ったものなので、それぞれに雲や仏様の表情が豊か。推しメンを探してみて♪

頼通が望んだ最上のお迎えを絵画に!日本最古の九品来迎図(国宝)

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

美しい大和絵風の九品来迎図(くほんらいこうず)も天蓋や雲中供養菩薩と同じく本尊を荘厳する役割があります。亡くなった人は生前の生き方によってお迎えの様子が9通りあり、鳳凰堂の扉や壁には、頼通の望みにより最上級のお迎えの様子が描かれていました!

大人気のミュージアムグッズをお土産に

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平等院のミュージアム「鳳翔館」の出口には平等院グッズ売り場が。オープン以来の定番商品から新商品まで充実のラインナップ。

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定番から最新の御守りまですべて、こちらでも授与。

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お洒落な「一願成就 紙守り」は、願い事を自身で紙に書いてお財布などに入れておく御守りです。アマビエ、鳳凰堂、鳳凰の3種類販売。各500円

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写真左上は「雲中ブックマーカー」各500円、右上と右下は「宝相華朱印帖」の裏表。1冊1500円、「平等院消しゴム」1個350円、組み合わせ自由で4個1000円。

フォトジェニックな四季の風景も楽しめる平等院

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【Ⓒ平等院、写真提供:平等院】

四季を通じて鳳凰堂の表情が変わるのも平等院の魅力です。とくに平等院の藤は1万房にも及び藤の名所としては日本有数!

 

■■INFORMATION■■

平等院
0774-21-2861
京都府宇治市宇治蓮華116
庭園 8:30~17:30(受付終了は17:15)
平等院ミュージアム鳳翔館 9:00~16:45(受付終了)
鳳凰堂内部 受付9:00~16:10
(9:30より拝観開始、以後20分毎に1回50名)
※内部拝観希望者が多数の場合は最終受付以前に終了する場合あり
※法要・行事等により、内部拝観をお休みすることあり
拝観料 大人 600円 中高生 400円  小学生 300円
鳳凰堂内部 別途300円

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