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京都初のワイナリー「丹波ワイン」〜京都の食文化に合うワインを〜

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近年、世界でも高い評価を得ている日本の国産ワイン。山梨や北海道、長野、山形などのワイナリーが有名ですが、京都にもワイナリーがあるということを知っていますか? 今回は1979年より京丹波町でワインを作り続け、現在、酸化防止剤無添加の微発泡ワイン「てぐみ」が大ヒット中の「丹波ワイン」を訪ねてきました。

日本のワイン醸造のスタートは明治時代

さまざまな西洋文化が取り入れられた明治時代にワインの醸造がはじまります

日本でワインの醸造がはじまったのは明治時代初期の頃。1874(明治7)年に山梨県でワイン醸造を試みたのを皮切りに、各地でワイン醸造所が誕生しました。しかし当時の日本人の食生活に本格ワインは合わず、残念ながらとっても不評だったのだそう。
そこで砂糖や酒精、香料などを加えた甘いワインを売り出したところ大ヒット! そのため長らく日本でワインは甘いものと思われるようになった、ともいわれています。

日本の食卓でワインが受け入れられるようになるのは、東京オリンピックや大阪万博開催などで経済が発展した1960~70年代。78年頃には手軽な1000円ワインがブームとなり、バブル絶頂期の87~90年にはボージョレ・ヌーボーや高級ワインが人気を集めました。
「丹波ワイン」が誕生した1978年は、まさに日本の高度経済成長期からバブル期にかけて、ワインが日本人に受け入れられるようになる時代でした。

京丹後の気候風土が「丹波ワイン」のテロワール

左が黒井哲夫社長、右が醸造技術者の大川勝彦氏

「丹波ワイン」を作ったのは醸造家ではなく、京丹波町に工場を構える大手照明機器メーカー「クロイ電機株式会社」の社長・黒井哲夫さんでした(クロイ電機株式会社の歴史も興味深いですが、今回は割愛します)。
というのも黒井社長が海外を訪れた時、駅のホームやカフェで気軽にワインが楽しめ、さらにとても美味しいことに驚き、日本へと持ち帰ります。ところが家で味わうと、何かが違うのです。

ワインの世界で「テロワール(terroir)」という言葉があるそうなのですが、“ワイン造りには、ブドウ畑や醸造所がある土地の土壌や気候、ワインを醸す職人の言葉や気質、食文化など風土が重要”という意味です。
何度も「何かが違う」を体験したことで、ワインにはテロワールが大切であり、その土地の食材や食文化とマッチするべきとだと気が付いた黒井社長。そこで会社を辞め、私財を投げ打ち、日本や京都の食文化に合うワインを造ろうと「丹波ワイン」を立ち上げたのでした。

ワイナリー設立の中心となったのは、黒井社長と、丹波で生食用ブドウ農家経営者の山崎高明氏。そして醸造技術者として当時、山梨の洋酒工場に勤務していた大川勝彦氏が参加しました。
醸造所は現在のワイナリーから車で10分ほど行った先にある日本酒蔵を借り、樽も日本酒用のものを使い醸造をはじめました。努力の末、現在、国内に300近くある醸造所の中で丹波ワインは20番目に入る規模にまで成長したのです。

丹波ワインを飲んでみると、日本食、京料理だけでなく、出汁を使ったおでんや筑前煮とも相性がいいことに気が付きます。個性が強すぎず、料理から少し引いた所でしっかりと料理を支えるような味わい。まさにこれが黒井氏が目指した土地の食文化に根ざしたワインなのですね。

ワイナリーで50品種のブドウを栽培

丹波ワインがあるのは、京都縦貫自動車道の丹波もしくは瑞穂各ICから車で約10分、国道9号から側道に入り、桜並木を抜けた小高い丘の上に立っています。
1000坪もある広大なワイナリーの敷地のうち85%がブドウ畑。これらの畑では将来に向けての試験栽培品種を含めた約50種類ものブドウが育てられています。

ピノ・ノワールの中には樹齢30年を超えるものも

そのうち実際にワインにするブドウは、白ワイン用のピノブランや赤ワインに使われるカベルネソーヴィニヨンやメルロー、ピノ・ノワール、タナなど10品種程度。それぞれブドウの個性に合わせて選んだ畑で大切に育てられています。

北海道有珠郡壮瞥町にある自社農園

また、ワイナリー内の畑だけでなく、北海道洞爺湖のほとりにある自社農園で収穫したブドウや、山形県や山梨県、長野県、香川県、また海外から届くものなど、銘柄によって産地も使いわけているのだそうです。

ワイナリーツアーで醸造所を見学

丹波ワインでは、醸造所が休みの土・日曜、祝日に「ワイナリーツアー」を開催しています。季節によってはブドウ畑も見せてもらえますよ。
写真は醸造所内の仕込み場。日本酒蔵を使っていた頃の名残で、ホーローの開放タンク(右奥)を多く使っているのも特徴です。丹波ワインでは2人の女性醸造家がメインでワインを造っているんですって。

お隣は熟成庫。樽や瓶に詰められたワインがゆっくりと熟成し、デビューの時を待っています。ヌーボー(新酒)以外は白ワインで半年、赤ワインで12~24ヶ月程樽熟成を行い、その後、瓶詰をしてさらに瓶熟成をさせ、ようやくリリースされるのだとか。食卓に届くまで、そんなに長い時間を有するんですね。

最後の部屋は、瓶詰やコルク栓を打ったり、キャップの栓をしたり、ラベルを貼ったりする機械が並んでいます。もちろん検品は目視で。醸造所を見学して驚きだったのは、年4~50銘柄もワインを造っている大きなワイナリーなのに(ラインナップは年によって異なります)、思ったより醸造所は小さく、結構、アナログだったということ。手作りで大切に造られているんだなぁというのが感じられました。

最後はお楽しみ! 専用テイスティングバーにてワインの試飲とワインの楽しみ方のレクチャーです。気に入ったワインがあれば併設のワイナリーショップで購入することも可能ですよ。(テイスティンバーは、ツアーに参加しなくても利用可)。

ブドウ畑を眺めながらワインと食事を楽しもう

左より「和牛すじ赤ワイン煮込みカレープレート」1500円、「自家製低温ローストポークランチ」1800円、 「本日のシェフおすすめランチプレート」1700円

ワイナリーでは土・日曜、祝日のランチ限定で、ブドウ畑を眺めながら食事が楽しめるレストラン「duTamba(ドゥ タンバ)」がオープン。地産地消をコンセプトに地元の旬食材とワインが楽しめます。もちろんワイナリーショップで販売している数量限定、季節限定のワインを購入して持ち込むこともできますよ。

また、外にはテラス席の「VinyardGrill(ヴィンヤードグリル)」があり、4~11月は地元猟師さんから届く鹿肉や猪肉、地元の野菜や牛肉などがバーベキューで楽しめるんですって(要予約)。春になったら行ってみたいな~。

ワイナリー限定ワインをお土産に

ワイナリーショップでは、丹波ワインのほぼ全てのラインナップが揃うだけでなく、ショップ限定のワインも販売しています。

赤・白・ロゼ・スパークリングセット(3,300円)

こちらはお土産にピッタリなショップ限定のセット。丹波ワインオリジナルのロゴ入りバックに飲み比べにピッタリの330mlのミニワインが4本入っています。特別ラベルもステキなので注目を。

左寄り「てぐみ」白、ロゼ各1870円、サペラヴィ、甲州各2200円(全て750ml)

こちらは今、大人気の「てぐみシリーズ」。国産ブドウを100%使い、酸化防止剤を一切使用せず、さらに濾過もせずに生詰めした微発泡のワインです。
醸造家の内貴麻里さんがビールに代わるものを造りたい! と2年もの歳月をかけて完成させたのだとか。フルーツらしい甘みと酵母の香り、最後に少しの苦味が残る、クラフトビールに近い味わいです。酸化防止剤を使っていないのでナチュラル思考の方にも評判です。

丹波ワインのラベルはどれも素敵なのですが、ラベルは女性スタッフによるデザイン。発酵中のタンクで沸き上がる泡、グラスに注いだ時にはじける細やかな泡をイメージしているそうです。また、発売当初は手でボトリングしていたことから、茶道でお湯を汲む時に使う柄杓(ひしゃく)も描かれているんですよ。

丹波ワインヌーボー白、赤1375円(各720ml)

ラベルにカワセミが描かれたこちらは2022年のヌーボー。カワセミの絵は京都在住の日本画家・竹内浩一氏の作。添えられた文は平安時代末期の歌謡集『梁塵秘抄』(りょうじんひしょう)から抜粋し、「遊びをせんとや生れけむ、戯れせんとや生れけん」と書かれています。今のところ12月中まで在庫がありそうなのですが、購入はお早目に。オンラインショップでも買えるので今、購入してお正月に飲むのもいいですね。

左より、京都丹波トラディショナル2009、2008、2008、2009、2010
(各750ml 中央の2008のみロゼ、他は白)1万1000円

丹波ワインは1本(500ml)1000円代からと手ごろな価格設定も魅力ですが、写真の「京都丹波トラディショナル」は1本1万1000円とワイナリーのなかでは高価なワイン。これらは京都丹波産のブドウを100%使い、約10年間熟成させた数量限定のスパークリングワイン。一次発酵の後、瓶詰めをして、糖分と酵母を再び入れて二次発酵させる伝統的な瓶内二次発酵法で造られています。瓶内で発生した炭酸ガスがワインの中に溶け込むため、泡がクリーミーでエレガント。しかも持続性があるんですって。飲んでみたい!!

左上より時計回りに「高原の鐘」250円、「赤ワインジェラート」350円、

「手作りさけるチーズ」スモーク430円、プレーン280円、

「和牛すじ赤ワイン煮込みカレー」680円、「和牛赤ワイン煮込みボロネーゼ」800円

ショップではワインだけでなく、地元の食品などもセレクトして販売。レストランで人気の「和牛すじ赤ワイン煮込みカレー」や丹波ワインを贅沢に使用した「赤ワイン煮込みボロネーゼ」のレトルトパックや近所の京都府立須知高校 食品科学科の生徒たちが作るチーズやワイナリーショップ限定のバニラアイス「高原の鐘」、ワイナリーとコラボした「赤ワインジェラート」なども販売しています。

これからクリスマス、冬休み、お正月と、何かとお酒を飲む機会が多いシーズン。今年は京都産のワインを楽しむのはいかがでしょう。
また、丹波ワインでは醸造所やブドウ畑の見学、レストランやショップもあるので、休日のお出かけ先のひとつにぜひ、加えてくださいね。

 

■■INFORMATION■■
丹波ワイン株式会社
京都府船井郡京丹波町豊田鳥居野96
TEL 0771-82-2002
ワイナリーツアー・レストランに関するお問い合わせはTEL 0771-82-2003
ワイナリーツアー
土・日曜、祝日開催11:00、14:00
料金:1人1000円(3種テイスティング付き)小学生以下は無料
※ドライバーやノンアルコール希望の方はノンアルコールに変更可
予約方法:3日前までに電話もしくはネットから予約を

duTamba(ドゥ タンバ)
営業:土・日曜、祝日11:30~16:00(14:30L.O.)
※年末年始は休業
予約優先

VinyardGrill(ヴィンヤードグリル)
営業:4~11月12:00~16:00(4:30L.O.)
定休日:水・木曜日
※年末年始は休業
4日前までに要予約

ワイナリーショップ
営業時間:10:00~17:00
定休日:木曜日(1~3月は火~木曜日定休)
※9-12月は無休
※年末年始営業

 

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