2023年も早1か月が過ぎ、もうすぐ2月ですね。2月といえば節分の季節。子供の頃、鬼の面を作り、豆をまいた思い出がある人も多いのではないでしょうか。 節分祭で馴染み深いといえば「鬼は外!福は内!」の掛け声ですが、京都府福知山市では“鬼を呼び込み、福を出す”節分が行われていることをご存知でしょうか? 今回は、そんなちょっと変わった節分伝承についてご紹介します。
そもそも節分ってなに?
節分行事といえば「鬼は外! 福は内!」の掛け声を上げながら、鬼に向かって豆をまき、厄を払って福を招き入れる日本の伝統行事のひとつ。そもそも「節分」とは、季節の分かれめの日のことをいい、立春・立夏・立秋・立冬の“前日”を意味しています。 年に4回ある節分の中でも、春の節分は旧暦の「大晦日」にあたり、その翌日の立春は「お正月」にあたることから、新しい一年の始まりである春の節分が重要と考えられていたそうです。現在ではこの立春の前日(2月3日頃)を節分といいます。 昔は季節の変わり目に邪気が生じると考えられており、「鬼」はそういった邪気や厄の象徴とされていました。形の見えない病や災害などは鬼の仕業と考えられており、次第に魔除けの力があると信じられていた穀物を投げつけて厄祓いをするようになりました。 そのなかでも煎った豆は「魔の目を射る(豆を煎る)」「豆は魔を滅する(魔滅=まめ)」に通じることから、現在の豆まきが浸透したといわれています。
どうして鬼を呼び込むの? 福知山の「鬼は内 福は外」の伝承
福知山市にある大原地区では、「鬼は内!福は外!」と一般的な掛け声とは真逆の節分祭が行われています。 この節分祭が行われるのは安産の聖地として古くから信仰を集めている大原神社。こちらでは節分祭の前日の夜に「鬼迎え」といわれる儀式が行われ、鬼が村中を回ることで全ての厄が鬼に乗り移るとされています。 そして翌日の節分祭では宮司によって追儺式(ついなしき)の祝詞(のりと)奏上の後、魔除けを意味する桃の矢を四方に放って厄祓いが行われ、拝殿前にて豆が撒かれます。すると、前日に村中を回っていた鬼たちが神社の境内に現れ、参拝者が「鬼は内! 福は外!」と豆を鬼に投げつけて神社の本殿へと追い払います。 その後、本殿に追いやられた鬼は神様の力によって改心し、お多福(福の神)になって参拝者たちに福(景品)付きの豆がまかれるというもの。 さて、ではなぜ「鬼は内! 福は外! 」なのか? それには2つの説があるそうです。 ひとつは巷にある悪いものを神社で清めたうえで(=鬼は内)、村に福をお返しする(=福は外)ということ。 もうひとつは大原神社の歴史に関係しているのだとか。かつて大原神社は綾部藩の領地であり、その藩主は姓に“鬼”の文字がある九鬼家でした。九鬼氏の大原神社への崇敬は篤く、現在の社殿も寛政8年(1796)に再建されたものだそうです。 大きな力を持った九鬼氏が治めている地で、「鬼は外」というのは「九鬼侯、出ていけ」という意味にもなりかねません。そういった配慮から、「神社にお越しください」という思いを持って「鬼は内」、そして皆さんには福をお授けしますよという意味で「福は外」の掛け声で豆まきをするようになったそうです。 残念ながら大原神社は今年(2023年)、新型コロナウイルスの感染拡大を鑑み、追儺式のみで鬼や参拝者への豆まきは行われないそうです。全国的にみても珍しい掛け声の「鬼は内 福は外」、歴史的な背景からいろんな地域の節分祭を調べてみるのも面白いかもしれませんね。 節分については、こちらの記事もぜひチェックしてみてください▼
■■INFORMATION■■ 大原神社 住所:京都府福知山市三和町大原191-1 TEL:0773-58-4324 http://www.kyoto-jinjacho.or.jp/shrine/24/040/