2024(令和6)年は十二支の辰年にあたります。そこで狛犬ならぬ「狛龍」が鎮座する宮津市の眞名井神社(まないじんじゃ)をご紹介。パワースポットとしても名高い神社の魅力も、ひも解きます。
元伊勢 籠神社(もといせ このじんじゃ)の奥宮「眞名井神社」
海の京都を代表する名所・天橋立。その付け根部分に鎮座するのが、創建1300年以上の歴史がある籠(この)神社です。以前、“京都のお伊勢さん”としてご紹介しましたが、今回訪れる眞名井神社は、籠神社の奥宮に当たります。
籠神社から眞名井神社へ向かうには、籠神社の隣にある駐車場を抜け、住宅街を通ります。
眞名井神社の鳥居が見えてきたらあともう少し。川音を耳にしながら山の方を目指しなだらかな坂道を上ります。籠神社から眞名井神社までは徒歩で約10分のアクセス。眞名井神社にも参拝用の駐車場がありますが、初詣シーズンは混雑が予想されるので、籠神社の駐車場を利用するのがおすすめです。
眞名井神社は、3000年以上の歴史があると伝わる丹後地方有数の古社。祭神は、産業、衣食住の女神・豊受大神(トヨウケオオカミ)です。今から約2000年前に天照大神が移り、4年間、豊受大神と共に祀られます。その後、天照大神は20数か所を巡幸し、伊勢神宮(三重県伊勢市)の内宮に鎮まることになりました。それから約500年経った後、豊受大神が天照大神によって呼び寄せられ、伊勢神宮の外宮に鎮まることに。その200年後に、眞名井神社の麓に新しく籠神社が創建され、天照大神の孫である彦火明命(ヒコホアカリノミコト)を祀るようになりました。
狛犬と同じ阿吽(あうん)形の「狛龍」
さて、今回お目当ての狛龍は、豊受大神が祀られる社殿の参道沿いに鎮座しています。森閑とした境内の鳥居の両側に、狛犬と同じ「阿」「呍」の表情をしているのが特徴です。
こちらが「阿形」の狛龍。正面から見るとなかなかの迫力です。
こちらは「吽(うん)行」の狛龍。「阿形」の狛龍と同様に、手には2つの珠を持っています。『古事記』『日本書紀』に記されている「海幸彦・山幸彦」の神話には潮を満ち引きさせる呪力の「潮満珠(しおみつたま)」「潮涸珠(しおふるたま)」が登場しますが、それをモチーフにしているのでしょうか。
台座を見てみると、今から約30年前の1994(平成6)年に、高知市の有志の方が奉納していることがわかります。
なぜ狛犬ではなく狛龍が祀られたか、その明確な理由は定かではありませんが、昔から龍は、真名井神社の祭神・豊受大神の使いとして信仰を集めてきたことから狛龍を鎮座したのではないかと考えられています。
また、境内に天村雲命(あめのむらくものみこと)が天上から黄金の鉢に入れて持ち帰ったといわれる霊水「天の眞名井の水」があることや、龍が水神として崇められていることなど、龍と縁が深いことも理由に挙げられます。
神秘的な雰囲に包まれた拝殿と磐座(いわくら)へ
狛龍を詣でたら、参道の階段を上って拝殿へと歩みを進めます。社殿の形は、伊勢神宮や籠神社と同じ神明造(しんめいづくり)。拝殿の背後には、大木と巨木が祀られているのを目にできます。これが縄文時代から受け継がれる祭祀場「磐座(いわくら)」です。
社殿がまだない時代の人々は、大木や巨石、島や川などに神々が籠もると考え、崇拝の対象としてきました。眞名井神社の境内には縄文時代から人々が住んでいた証である巨斧や掻器(そうき)、弥生時代のミニチュア祭祀土器の破片や勾玉(まがたま)が出土しています。そのためこの一帯は、縄文時代から神聖な場所と考えられ、人々がここで生活を営み、神々を祀っていたことがうかがえます。
龍にまつわる授与品も授かろう
せっかく眞名井神社を参拝するなら、ご利益を求めて授与品も授かりましょう。眞名井神社の授与所は、月に数回(不定期)に開設予定。開設日については、籠神社の公式HPにある行事カレンダーをチェックしてください。
こちらは、昇龍のデザインが施された眞名井龍神守(2000円)。天を突き抜けるかのように運気もアップしそうです!
豊受大神ゆかりの藤の花をあしらった藤の花絵馬(500円)。こちらは眞名井神社の授与所が開いていない場合でも、籠神社の授与所で授かることができます。
籠神社の授与所で授かることができる願掛け龍神絵馬(500円)。裏に一年の願い事を記入して絵馬掛け所にかけましょう。
丹後随一の歴史を誇る眞名井神社。来年は辰年ということもあり多くの参拝客が訪れるのではないでしょうか。京都方面から車で向かう場合は、京都縦貫自動車道を経由して山陰近畿自動車道の与謝天橋立I.C.で降り、約20分のアクセス。防寒対策は万全に、雪が積もっているかもしれないので足元に気をつけてお詣りください。
■■INFORMATION■■
眞名井神社
所在地:宮津市中野905
TEL:0772-27-0006(籠神社)
アクセス:山陰近畿自動車道与謝天橋立I.C.から車で約20分、丹鉄天橋立駅から丹後海陸交通バスに乗って約40分「元伊勢籠神社前」バス停下車徒歩約3分