新年を迎えて早くも1カ月が経とうとしていますが、神社の中には旧暦のお正月(2024年は2月10日)前後に、昔ながらの正月行事を執り行うところもあります。京都府木津川市にある相楽(さがなか)神社もその一つで、毎年2月1日に「餅花祭(※)」と呼ばれる豊作祈願のお祭りが開催されます。
※「餅花」と呼ぶ場合もあります。
しかもこのお祭り、発祥時期をめぐっては神話の時代まで遡る説もあるほど歴史が古く、お祭り当日の飾り付けなども独特。相楽神社に伝わるその他の正月行事と合わせて、京都府無形文化遺産に指定されている大変珍しいお祭りなのです。気になる餅花祭の歴史や様子について、見どころを交えてご紹介します!
「餅花祭」ってどんなお祭り?
豊作祈願の餅花がお祭りのシンボル
「餅花祭」は京都府木津川市相楽地区の相楽神社に古くから伝わる、一年間の五穀豊穣を祈願するお祭りです。開催日は毎年2月1日と決まっており、当日朝早くから地域の皆さんがお祭りのシンボルである「餅花」の奉納に訪れます。
奉納された餅花は、このように上から吊り下げるかたちで境内に飾り付けられます。一年のうちでこの日しかお目にかかれない餅花飾り、とっても華やかですね。それに形もユニーク!
こちらの餅花は、大小5つの餅を差した2股の竹串を、粘土を芯にしたひょうたん型の藁包み(ションマラ)に差し、満開の花に見立てて作られているそう。満開の花に豊作の願いを込め、宮座の方や地域の子どもたちが20基ほどの餅花を奉納しています。
中世の宮座祭祀の趣を伝える無形文化遺産
このお祭りの発祥は定かではなく、さまざまな説が伝わっています。古くは神話時代の神功(じんぐう)皇后にまつわる伝説もありますが、祭祀の様式などから中世に発祥・定着したと見られています。
相楽神社には餅花祭のほかにも、豆焼(まめやき)、粥占(かゆうら)、御田(おんだ)祭、水試(みずだめ)といった伝統的な正月行事が複数あり、これらに中世の宮座祭祀のあり方がよく現れているとして、昭和59年に一連の正月行事が京都府無形文化遺産に指定されました。
正月行事にはそれぞれ、その年の降水状況や米の作柄を占ったり、豊作を祈願したりする意味合いがあるそうで、古くから稲作がさかんなこの地域の米作りにかける思いが伝わってきます。現在、相楽地区で多く作られている銘柄「ひのひかり」のお味も気になりますね。
伝統的な餅花神楽も要チェック!
お祭りの見どころは、餅花飾りだけではありません。午後にはお祭りの核心部分である神事(祝詞奏上、玉串礼拝など)とともに「餅花神楽」と呼ばれる神楽舞が奉納されます。
宮座衆が打ち鳴らす鉦(かね)や太鼓などに合わせて巫女さんが神楽を舞うシーン、こちらもハレの日の空気感を存分に味わえる必見ポイントです。なお、神事が終わると餅花はすぐに下げられるので、たわわな餅花を見たい方、写真に撮りたい方は神事が始まる前に向かいましょう。
例年、地域の子どもたちをはじめ100人余りの見物客でにぎわう餅花祭。豊作祈願にあやかって実り多き一年となるように、来る2月1日、相楽神社に足を運んでみませんか。
■■INFORMATION■■
木津川市・相楽神社の餅花祭
問い合わせ:0774-39-8191(木津川市観光協会)
場所:京都府木津川市相楽清水1 相楽神社
*駐車場はありませんので、公共交通機関をご利用ください。
JR学研都市線「西木津」駅下車、徒歩約5分/近鉄京都線「山田川」駅下車、徒歩約10分/近鉄京都線「山田川」駅から木津川市コミュニティバスきのつバス〈木-1、2、3〉「清水橋」下車、徒歩約3分
【行事スケジュール】
2024年2月1日(木)
8〜10時 餅花奉納
12時45分〜13時15分 神事・餅花神楽