茶の文化が薫る石清水八幡宮の門前町・八幡市。桂川、宇治川、木津川の3つの川が出合うこのまちに、3つの巨大モニュメントがあるのをご存じですか? 石造りの五輪塔に神具を思わせるモダンなモニュメント。石清水八幡宮駅前に建つ竹と白熱電球のモニュメントもいつ頃完成したかを知っていますか? 今回は、八幡市内にある3つの謎のモニュメントを調査してきました!
駅前のモニュメントは、なぜ「竹」と「白熱電球」?
石清水八幡宮駅前モニュメント(八幡市八幡高坊)
八幡市の玄関口、京阪石清水八幡宮駅前広場のロータリーに建つ巨大モニュメント。こちらは、今から約40年前の昭和58年、八幡市駅(現・石清水八幡宮駅)のターミナル広場の整備事業で建てられたものです。
八幡市といえば、発明王エジソンが八幡の竹を使って白熱電球を実用化したことで知られていますよね。このモニュメントも、歴史のまち・八幡にふさわしい駅前となるよう八幡の竹とエジソンの白熱灯をかたどっているのが特徴です
全長6.35メートルの円形の塔は、夜になると明かりが灯り仕事や学校から帰ってきた八幡市民をあたたかく迎え入れてくれています。
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石清水八幡宮駅前のモニュメント
住所:八幡市八幡高坊
問い合わせ先:八幡市都市整備部道路河川課/075-983-5089
日本最大級・石造りの塔にまつわる伝説とは?
石清水八幡宮 五輪塔(八幡市八幡)
京阪石清水八幡宮駅から南へ徒歩5分。石清水八幡宮の頓宮殿(とんぐうでん)から西側200メートルほど行った場所に巨大な石造りの五輪塔が建っています。高さは6.08メートル、幅2.44メートルと日本最大級の規模を誇り、国の重要文化財にも指定。密教思想に基づき、下から「地・火・水・風・空」という「宇宙の五大要素」を表しています。この五輪塔は、石清水八幡宮の宮寺だった旧極楽寺の境内に建立されたもので、後に寺は廃寺となり、この石塔だけが現代に伝わっています。石塔が建立された経緯や作者については不明ですが、多くの言い伝えが残されています。そのいくつかをご紹介しましょう。
平安時代の末期、高倉天皇(後白河天皇の第7皇子)の時代に「宋(中国)と貿易していた尼崎の商人が、石清水八幡宮に祈り海難を逃れたことを感謝し建立した」と伝えられています。このことから、船乗りたちが航海の無事を祈願に訪れるようになり航海記念塔と呼ばれるようになりました。
また、鎌倉時代末期に蒙古が襲来した文永・弘安の役に際して西大寺の僧・叡尊が石清水八幡宮で祈願したところ神風が吹き元軍は敗れ去りました。叡尊が彼らの供養のためにこの五輪塔を建立したとも伝わります。
この他、五輪塔の巨石を積み上げた際、石工が金テコを使ったところ、石の間から火が噴き出て綱が焼き切れてしまったという伝説も。そこで、八幡の竹を使った綱を使い、無事五輪塔は完成したともいわれています。
■■INFORMATION■■
石清水八幡宮 五輪塔(航海記念塔)
住所:京都府八幡市八幡24
問い合わせ:石清水八幡宮 075-981-3001
八幡宮の境内に建つ「あの塔」の役割は?
涌峯の塔(八幡市八幡高坊)
続いても石清水八幡宮ゆかりの巨大なモニュメントをご紹介。本殿の南側のひらけた場所に建つ全長約18メートルのモダンなモニュメント。八幡宮を訪れたことがある人なら「これはいったい何だろう?」と不思議に感じたことでしょう。
このモニュメントは、涌峯(ゆうほう)の塔と呼ばれ、八幡宮のシンボルタワーとして親しまれています。1984(昭和54)年に建てられたこちらの塔は、金属素材の抽象彫刻で知られ、清水焼の作陶家としても活躍した清水久兵衛(きよみず きゅうべえ)が設計を担当。神主が祭事行事の際にかぶる冠(かんむり)をモチーフにした現代的なデザインは、歴史ある八幡宮の景色のなかで異彩を放っています。
石清水八幡宮の広報の方にお話を聞いたところ、この涌峯の塔はシンボルタワーだけでなく、給水塔(※)としての役割も担っているのだとか。山上では水圧が低いため、塔内のポンプで吸い上げ、落下する水の勢いを利用して境内の各所に配水しているそうです。そんな機能も果たしていたのですね。
※給水塔:頂上のタンクに水を貯め、電力でなく重力による水圧を使って各所に水を供給する施設。産業革命期に多数建設されるも、現在はランドマークやモニュメントとして残っているものも多い。
■■INFORMATION■■
涌峯の塔
八幡市八幡高坊30
問い合わせ:石清水八幡宮 075-981-3001
今回は、京都府八幡市で目を引く3つのモニュメントをご紹介しました。八幡市は、有名な石清水八幡宮ほか、飛行神社やらくがき寺、松花堂庭園や流れ橋など、見どころも多いまちです。八幡市を訪れた際はぜひ、今回ご紹介したモニュメントもチェックしてみてくださいね。
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